逆転リーグVの可能性を残す浦和が「監督補佐」を緊急補強したことが4日、分かった。オーストリア協会でユース年代のコーチを務めるモラス雅輝氏(29)で、同氏は今日5日に来日し、エンゲルス監督(51)の補佐役としてスタッフ入りする。同監督とは10年来の師弟関係にあり、日本語、ドイツ語ともに堪能だ。浦和は監督と選手をつなぐパイプ役としても期待。8日札幌戦から早速、ベンチ入りする方向だ。

 リーグ残り4戦という終盤で、浦和が異例のスタッフ増強を決断した。今季中の指揮を任せたエンゲルス監督の意向を受け、藤口社長が「全面的に現体制をサポートしたい」と指揮官を補佐できる指導者を人選。市原(現千葉)を率いていた当時からエンゲルス監督と親交の深かったオーストリア協会コーチのモラス氏との交渉を進めていた。

 今回の「監督補佐」投入は、藤口社長が中心となって決まった。クラブ関係者によれば、同社長は先月30日から今月3日まで渡欧した際にモラス氏と接触したという。オーストリアではユース年代を育成し、若手指導歴も豊富な同氏。クラブ幹部は「社長は『今の現場に何か少しでも変化をつけたい』と話していた。ドイツ語でエンゲルス監督とも話ができるし、良き相談相手になるのではないか」との期待も大きい。

 エンゲルス監督は日本語で選手と積極的にコミュニケーションを取ってチームの士気を上げるタイプだ。しかし選手と個別に話し合いした時、細かいニュアンスが伝わりづらい場面が相次いだ。意見の食い違うFW永井との確執も、関係者は「言葉足らず、がきっかけとも言える」と明かす。モラス氏はザルツブルクで宮本や三都主の専属通訳を務めていたこともあり、監督-選手をつなぐパイプ役としての役目も担う。

 今日5日に来日するモラス氏は、同日午後に予定される練習から合流する見通し。通訳という立場で、8日に控えるJリーグ札幌戦でベンチ入りする可能性もある。ACL出場権を獲得できるリーグ3位、天皇杯Vを厳命された窮地のエンゲルス監督をどうサポートしていくか。モラス氏の手腕に注目が集まる。