ホンダFCのFW新田純也(30)が、チームを2年ぶりのJFL制覇に導き、個人3冠を狙う。新田は現在、19ゴールで得点ランク1位を走る。エースのゴールラッシュもあり、チームは9日のFC琉球戦で勝てば優勝が決まる。前回優勝の06年には、MVPとベストイレブンを獲得したものの、得点ランクでは2位に甘んじた。チームは優勝に王手をかけ、新田も個人3冠に照準を合わせた。

 ベテランFWが、夢の3冠へ走りだす。新田は攻撃陣の中で最古参ながら、現在JFL得点ランク1位タイ。「得点王のチャンスはめったにない。優勝した06年もMVPとベストイレブンに選ばれたけど、得点では2位だった」。これまでチームが優勝して得点王になった選手は、MVPにも輝いている。新田は「チームが優勝することが一番の目標。でも(得点王の)チャンスはつかみたい」と、気合を入れた。

 決して、速さがあるわけではない。技術が特別優れているわけでもない。それでも決める。「僕1人で突破してからのゴールは少ない。点を決めた時は、誰かのおかげで取れていることが多い」と謙虚だが、周囲との連係を高め、現JFLで歴代1位の計113得点を記録している。

 いつまでも恩師の言葉が頭に残っていた。名門の清水商入学時、レベルの高さに驚いた。特に2年先輩で元横浜FW安永を「化け物かと思った」と話すほどだった。だが、同校の大滝監督の助言で活路を見いだした。「『お前は泥くさくゴールを狙え。泥くさくても1点は1点』と言われて、1つ殻を破らせてもらった。できないプレーをやっても仕方ない」。高卒12年目となっても、そのポリシーは変わらない。

 チームは4試合を残して、2年ぶりのリーグ制覇に王手をかけた。それでも「苦しいシーズンに変わりはない」と新田。その謙虚な姿勢に、おのずと結果と仲間がついてくる。【栗田成芳】