東海社会人リーグ2位の矢崎バレンテが、堅守でJFL切符を勝ち取る。来季のJFL昇格を懸けたサッカー全国地域リーグ決勝大会1次ラウンド(R)は22日、鳥取・コカ・コーラウエストスポーツパークなどで開幕する。2年連続4度目の挑戦となる矢崎バレンテは、DF松尾昌則主将(34)を中心とした同リーグ最少10失点の守備力が武器。堅守から、悲願の昇格をもぎ取りに行く。

 悲願のJFL昇格へ-。だが、矢崎バレンテの選手は先を見すぎてはいない。あと1歩だった昨年も含めて、過去3度の挑戦はいずれも1次Rで阻まれた。それだけに、J2山形などでプレーしている松尾主将も「JFL昇格という先のことでなく、まずは決勝Rに行くことを目標にしている」と地に足をつけた。

 地域リーグに向けて原点に戻った。2位だった東海社会人リーグは、14試合で10失点。守備には自信があった。だが、2日のJ2甲府、9日のJ1名古屋との練習試合ではそれぞれ1-6、2-7で大敗。甲府は主力、名古屋もMF藤田やFW杉本、巻らトップで活躍する選手はいた。それでも、いとも簡単に通されるパスの連続にショックを受けた。岩科信秀監督(38)は「さすがに、まずい雰囲気が漂っていた」という。

 名古屋戦後、矢崎バレンテの「堅守」を全員で見つめ直した。「自信を持っていたが、リーグ戦レベルの寄せでは、上では通用しなかった。足りないものと通用するものが見えた2試合は、いい経験だった」と松尾。負けず嫌いの「チーム一熱い男」が中心となってもう1度、守備の意識を強くした。DFながらチーム2位6得点の静岡産大出の大森敬之(26)や、浜松大出のGK宮城達也(27)らも気の緩みを振り払った。

 最初の挑戦だった00年は勝ち点2で、2度目の04年は同3。そして昨年は1勝1PK負けの同4と、成績は上がっている。「自分たちの力を確認する意味でも、まずは決勝Rに行きたい」と岩科監督。悲願を、堅守でたぐり寄せる。【今村健人】