<J1・J2入れ替え戦:仙台1-1磐田>◇第1戦◇10日◇ユアスタ

 磐田は1―1でJ2仙台に引き分けたが、貴重なアウェーゴールをつかんだ。前半41分に仙台FWナジソンに先制弾を許す苦しい展開となったが、後半開始早々に反撃。同8分にMF松浦が鮮やかな左足ミドルを決めて同点に追いついた。オフト監督が9月に就任後、守備的な戦いが続いていたが攻撃姿勢が復活し、初戦でまずまずの結果をつかんだ。ホームに迎えての13日の第2戦で名門の看板を守り抜く。

 J2仙台に先制点を奪われても磐田は慌てなかった。ハーフタイムの控室でオフト監督は「この3カ月で最もいいゲームだ。後半も攻撃を仕掛けていこう」と指示すると後半8分、すぐに形になった。右MF駒野の上がりから前線でFW前田、ジウシーニョがキープしてタメをつくる。最後は磐田の黄金期を知らない19歳のMF松浦が豪快な左足ミドルを決めて同点。重みのあるアウェーゴールを敵地に刻み込んだ。

 12冠の鹿島に次ぐ歴代2位の6冠を積み重ねた、かつての強豪がシーズン16位で入れ替え戦に回った。過去4年、J1クラブは3度、J2に陥落しているという重いデータを突きつけられ、その重圧は予想以上に大きかった。百戦錬磨のGK川口でさえ「今までW杯も経験してきたけど、また違う重圧だった」と息苦しさを感じていた。

 最後は開き直るしかなかった。オフト監督が就任した9月以降、5バック気味の守備的な戦いを繰り返したが、この日は指揮官も“リミッター”を解除。MF駒野、村井の両サイドが積極的に攻撃を展開する。対面する仙台のMF関口、梁と一進一退の攻防で、ピンチも招いたが引かなかった。駒野は「引いてしまうと相手の思うようなサッカーになる」と失われていた攻撃姿勢を前面に押し出した。

 ただJ2の仙台に押される場面があったことも事実。シュート数でも10本対13本で相手より下回った。会見で「あなたが昔、指揮したころはJ2相手に引き分けるようなチームではなかった」と記者に聞かれたオフト監督は「このチームは(最初に指揮した)94-96年のチームと比較できない。リンゴとナシを比べるようなものだ」と話した。出番のなかったFW中山も言う。「まだ前半が終わっただけだ」。13日のホーム戦は、年間優勝3度の名門の看板をかけた戦いとなる。