J1清水の新人FW木島悠(22)が30日、今季初のシュート練習で得意の「アッチ向いてホイ」シュートを披露した。ボールの蹴る方向とは、まったく違うところを見ながら蹴る意外性十分の「秘技」。昨季の関東大学リーグ得点王の頭脳的プレーに、長谷川健太監督(43)も「木島が一番(得点の)確率が良かった」と大絶賛。31日の紅白戦を前に、黄金ルーキーが強烈アピールに成功した。

 木島が魅せた。ゴール前でボールを受けると、ゴールではなくタッチラインの方向を見ながらシュートを決めた。戸惑ったGKは、ボールに触ることもできなかった。「僕はパワーがあるわけじゃないから、強いシュートは打てない。GKの逆をつくように心がけている」。してやったりのプレーだった。

 前日29日に、今春卒業見込みの筑波大学体育専門学群の卒業論文として執筆した「FWの守備・FWの攻撃の役割」の発表を終えてきた。「(卒業は)たぶん大丈夫だと思います」。論文は、06年ドイツW杯優勝国イタリアと日本の全試合のプレーデータを比較。日本のFWと世界のFWの差を分析した力作だ。「イタリアは切り替えが早いから、相手のボールを前線で奪う回数が多い。そこから得点につながることも多くなる」と、得点率アップのための持論を展開した。

 今日31日は、今季初の紅白戦がある。長谷川監督は「裏に飛び出すタイミングもいいし、スピードもある。楽しみだね」と期待を寄せた。卒業論文発表は終えた。今度はJのピッチ上で、オリジナルのゴール理論を披露する。【為田聡史】