スピードが自慢の、褐色のストライカーがJ1山形に合流した。ブラジル人FWジャジャ(22)が14日、長崎・雲仙でキャンプ中のチーム練習に初参加。午前トレは完全別メニューで黙々と走り込んだが、午後トレでは部分的に全体練習に参加した。スピードに乗ったドリブルに絶対の自信を持つ新助っ人は「得点を挙げるのが仕事」と宣言。J1残留のキーマンに名乗り出た。

 自慢のスピードについてジャジャは、ちゃめっ気たっぷりにこう語った。「犬を追い抜いたことはないけど、自信がある」。合流前からその卓越した速さを、小林監督がイレブンに触れ回っていた。練習初参加のこの日は、その快足ぶりを発揮する場面はなかった。ほとんど別調整だったジャジャは、戦術練習に熱が入るイレブンを、恨めしそうに見つめていた。

 速さだけではJ1定着の救世主とはなりえないが、ジャジャには正確なキックという武器もある。昨季所属したフルミネンセでは、セットプレーのキッカーも務めた。小林監督も「FKを蹴れる選手が多くなった。たくさん並んで『ジャジャジャジャーン』ってジャジャが蹴れる」とご機嫌。精度の高さから、ゴール量産を指揮官は期待した。

 外国人ストライカーが合流したことで、日本人FWも黙っていない。長谷川は「タイプが違うけど、負けるつもりはない」と、ライバル心を燃やす。小林監督が狙っていた通りの競争が生まれ、チーム全体の底上げが促進されそうだ。

 今年に入り、ブラジルで数試合に出場した新助っ人に、試合勘の不安はない。全体練習への参加を訴えているが指揮官は「大化けするように大事にする」と調整をコントロールする。昨年、ミナスジェライス州選手権で得点王(7点)になったジャジャ。「得点を挙げるのが仕事。山形で活躍してブラジル代表になる」と真顔で言う。50メートル以上をドリブルで疾走し、ゴールを決めたこともあるジャジャは、新生モンテの「攻撃の顔」になることを誓った。【山崎安昭】