V奪回を狙う浦和が、年間最大100試合の「超スパルタ実戦強化」を計画していることが2日、分かった。戦力の底上げを重視するフォルカー・フィンケ監督(60)の方針で、今季は公式戦開催日の翌日に練習試合を組み込み、ベンチ登録を外れたり、出場時間の短い選手を強化する。主力と控えの実力差を埋めていくことを目的に、公式戦以外に練習試合を20戦以上こなす、前代未聞のプランとなりそうだ。

 アジア屈指といわれる戦力評価に、あぐらをかくつもりはない。フィンケ監督が、就任直後から温めていた再建プランへ動きだした。「実戦なくして、強化は図れない」とし、シーズン開幕後に20戦以上の練習試合を計画。スタッフやクラブ関係者らに試合相手を探すように指示を飛ばし、交渉を開始した。

 浦和は、既に1月から前日1日のJ2水戸戦まで練習試合を12試合消化。今後さらに20試合をこなせば、公式戦のリーグ34試合にナビスコ杯や天皇杯、サテライトリーグなどを加えると、年間100試合近くに及ぶ。この日夜、さいたま市内でのトークイベントでも同監督は「実現するのは難しいかもしれないが、若手を育成するためにクラブへお願いした」と明かした。

 選手の個人能力に依存した従来の戦い方に、人とボールが連動する戦術を注入するのが今季のテーマ。新しいスタイルをチーム全体に定着させ、ルーキーFW原口やMF山田直ら若手を育成するためにも、多くの実戦の場が必要となる。さらに、公式戦の翌日に練習試合を組み込むことで、各選手の経験値や疲労の度合いを均等にし、必要な場合は即座に戦力を入れ替えることも可能になる。

 「週末連戦システム」は、かつて市原(現千葉)のオシム監督も採用し、長らく低迷していたチームを就任1年目から優勝争いに導いた。今季は、7日のリーグ開幕戦で対戦する鹿島やG大阪など、タイトル争いのライバルがACLに出場するため、国内戦に集中できる浦和が日程や体力的に優位。だが、アドバンテージを捨ててまであえて過密日程を組み、スパルタ方式の実戦づくめでV奪回への力を蓄えるつもりだ。