<J1:新潟2-1鹿島>◇第2節◇15日◇東北電ス

 リーグ3連覇を目指す王者鹿島が、まさかの黒星を喫した。アウェーで新潟と対戦し、完全に流れを握られた前半を0-2で折り返し、後半ロスタイムに1点を返したが、1-2で敗れた。11日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)初戦のアウェー水原戦の惨敗(1-4)を引きずるかのような試合内容で公式戦2連敗。アジア制覇のためには落とせないACLの上海申花戦(18日、カシマ)にも暗雲が漂ってきた。

 歓喜に沸く勝者とは対照的に、肩を落としてうなだれる「王者」の姿があった。後半から途中出場したMF小笠原は「相手の方が戦っていた。勝ちたい意欲があった。(水原戦に続き)点を取られて、すぐまた入れられた。(問題は)集中力以外の何物でもない」と厳しい表情で言い放った。

 立ち上がりから全体的にパスミスが多く、ピッチ上で首をかしげる選手が目立っていた。前半9分にFKから先制点を許すと、直後の12分にDFラインで伊野波がトラップミスを犯し、2失点目に直結した。そこには、試合巧者の鹿島らしさはなかった。

 ACL水原戦はロングボールを放り込む相手に対し、中盤でパスをつなげずに完敗したが、この日の前半は水原戦を意識しすぎたのか、中盤で無理にパスをつなごうとしてカットされる悪循環。伊野波も「つなぐ時と苦しくて蹴る時をはっきりさせればよかった」と反省したほどだった。

 2失点も水原戦と同じように短い時間で喫した連続失点だった。DF内田は「ACLで4失点して、今日も立ち上がりで取られて『今日もかな』という雰囲気があった」と話せば、キャプテンマークを巻いたDF岩政も「前の試合が影響したと言われても仕方ない」。惨敗の悪影響が、間違いなくチームに残っていた。

 オリベイラ監督が「流れを変えるためのショック療法」と話したように、後半からは小笠原、FW田代を投入。MFが本職のダニーロを左サイドバックに移す「変則布陣」を敷いた。後半ロスタイムには岩政がゴールを決めて意地を見せたが、アジア制覇のために必勝が求められる次戦の上海申花戦へ向け、悪いムードを完全に振り払えてはいない。「今は我慢するだけ。耐えて流れが来るのを待つ」と内田。王者の威厳を取り戻し、栄冠を手にするため、この苦しみを乗り越えるしかない。【菅家大輔】