鹿島の日本代表DF内田篤人(21)に「鉄人指令」が出された。今季はクラブと代表で17試合に出場。22日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のシンガポールAF戦では試合中に嘔吐(おうと)して交代するなど疲労は蓄積している。だが、鹿島の鈴木満強化部長は23日、「W杯出場を決めるまでは頑張ってもらうしかない」と愛のムチとなるげきを送った。「日本一忙しいJリーガー」が過密日程を乗り越え、たくましさを身につける。

 日本と鹿島を背負う不動の右サイドバックに、あえて「愛のムチ」が放たれた。この日、鈴木満強化部長は「今後W杯予選の大事な試合が控えている。(内田)篤人にはW杯出場までは頑張ってもらうしかない。代表として、これを乗り越えてほしい」と話した。

 内田は今季17試合に出場しており、疲労は蓄積されている。22日の試合中に嘔吐しただけでなく、7日のアウェーのACLシンガポールAF戦では脳振とうを起こし途中交代。3月15日の新潟戦で腰部から左脇腹にかけて打撲を負い、同下旬には右太もも裏に違和感を訴えるなど、満身創痍(そうい)。同部長も「疲れはたまっている。ここ2試合は集中力をやや欠いているし」と話したほどだ。

 それでも、同部長が「篤人以外の代表選手も厳しい日程をこなしている。試練だと思う」と厳しい言葉を送ったのは内田への期待が高い証拠。鹿島のオリベイラ監督も内田の疲労を理解している。6月のW杯予選3連戦まで続く今後の過密日程を乗り越えさせるため、機を見て途中交代させるなど「配慮」をしていく可能性は高い。

 内田はこの日、25日のリーグ山形戦に備え軽いメニューを消化。普段から「体調?

 あまり気にしていない。やるしかない」と話しており、気丈に振る舞った。過密日程をクリアして、W杯切符をつかめば、世界で戦うための心身のたくましさも手に入るはずだ。【菅家大輔】