<J1:神戸3-1山形>◇第10節◇5日◇ホムスタ

 こどもたちの声援で連敗ストップだ~!

 “港町の新エース”が連敗を止めた。神戸のFW茂木弘人(25)が、ホーム3試合連続ゴールを決めた。前半36分にDF2人の間を縫って右足で技ありの先制弾。1ゴール1アシストの活躍で、好調山形を3-1で破る立役者になった。

 苦しい時に点が取れるのが、真のエースだ。前半36分。ゴール前でボールを受けた茂木が、ドリブルで前へ向かった。DF2人の間のわずかなすき間を見つけると、右足で針に糸を通すような絶妙シュート。ゴール右隅に決まるのを見届けると、普段はおとなしい男が両手でガッツポーズをして喜んだ。

 4月19日大分戦から本拠地で3戦連発。前節までリーグ最少失点の山形から先制弾を奪い、連敗を2で止めた勝利に大貢献だ。

 茂木

 トラップをして時間をかけずに(右足を)振り抜けたのが良かった。本当はホームだけじゃなく、アウェーでも力を出し切らないといけないんですけど。点が取れているのを少しずつ自信にしていきたい。

 まさに救世主だ。昨季から大久保(現ボルフスブルク)とレアンドロ(現G大阪)の2トップが抜け、心配された得点力不足を十分に埋めている。後半39分にもゴール前へ突っかけて吉田のダメ押し弾を演出。昨年はDF登録だった男が、1ゴール1アシストの活躍で苦境のチームを救った。

 こどもの日は寂しい思い出がある。福島県にある実家は薬局を営む。父源一さん(62)は「店があるから、こどもの日でもどこにも連れて行くことができなかった」と振り返る。近所の友人宅には大きな鯉のぼりが上がっていたが、茂木家には小さい鯉のぼりしかなかったという。寂しさを紛らわすため、茂木少年は薬が入っていた段ボールをゴールに見立て、朝から晩までシュート練習を繰り返した。点取り屋としての本能は、段ボール箱で磨かれたのかも知れない。

 茂木

 みんながいいパスを出してくれるようになった。続けて点が取れるように。次の試合が大事です。

 次節は10日名古屋戦。頼れる男に成長した茂木が、神戸を上昇気流に乗せる。【益子浩一】