石崎札幌は、ピンチもチャンスに変える。コンサドーレ札幌は24日、今季札幌厚別初戦の東京V戦に臨む。前節20日のアウェー水戸戦でDF趙が累積4枚目の警告を受け、今季初めて出場停止となる。高さと強さを兼ね備えた守りの要を欠くが、石崎信弘監督(51)は本来ボランチの上里一将(23)を左サイドバックに置く奇策で、第1クール最終戦を勝利で飾りにいく。

 22日の札幌ドーム・サブグラウンドでの戦術練習。石崎監督が最も長い時間、左サイドバックに置いたのは上里だった。「彼はパスも出せるし起点になれる。あの位置ができるようになれば今後にもつながる」。キャンプでも試したことのない位置だが、指揮官は本番での起用を示唆した。

 上里にとって「やったことはない」という位置となるが、この日の練習では周囲と声を掛け合いながらスペースも埋め、危ない場面は一切つくらせなかった。「出られればどこでも関係ない。みんながケアしてくれるし、ここから起点になれるようにしたい」と自信をのぞかせた。

 「いろいろな経験をさせることで、何かあったときのためになる」と指揮官は今後も見据え、そう話した。明日で第1クールは終わるが、まだ34試合が残っている。今後も起こり得るアクシデントなどに備えての苦肉の措置でもあるが、ここで結果をつかめれば、チームの底上げにはこの上ないプラスになる。上里は「監督の期待に応えたい」と前向きに言った。その言葉が形となれば、先々も楽しみは膨らむ。【砂田秀人】