<J2:仙台1-1札幌>◇第24節◇27日◇宮城

 集中力の欠如を突かれた仙台が、札幌と1-1で引き分けた。後半6分に4試合連続の先制点を献上。同35分にFW中原貴之(24)の得点で追いついたが、またも追う展開に苦戦した。C大阪を抜いて暫定2位に浮上したものの、31・1度の炎天下の中、宮スタ最終戦に詰めかけた今季最多1万7983人に、勝利を贈れなかった。

 不安が的中した。またも後半開始後の序盤だ。札幌DF上里の左クロスが、そのままゴールに吸い込まれた。「後半開始15分は絶対に集中しよう」(MF梁)とハーフタイムに確認し合った直後の不用意な失点。これで先制点献上は4戦連続だ。猛暑の中、詰めかけた約1万8000人を中原の同点弾で沸かせたのが、せめてもの救いだった。

 リーグ最少17失点の守備陣が、4試合続けて我慢比べに負けている。手倉森監督が「得点できなければ0-0で仕方ない。それが、そろそろ得点が欲しい時間になると崩れる」と悔やめば、DFエリゼウも「前半のチャンスを決められないと焦ってくる」と反省。鉄壁も、集中力を欠く時間帯を突かれれば決壊する。

 DF陣だけのせいにしては酷だ。指揮官が指摘する攻撃の「ちぐはぐさ」も失点の遠因だ。「困った時のロングパス」でリズムを崩し、逆に密集地帯で回すショートパスを奪われる場面も。FW平瀬が「ロングボールが多いと自分たちの形がつくれない」と言えば、MF関口も「失点は守備だけの責任じゃない。FWにボールを預ける動きを徹底したい」。反撃を招く不用意な攻撃が「尻込みした」(手倉森監督)原因で、要は攻守のバランスだ。

 それでも、試合のなかったC大阪を抜き暫定2位に浮上。指揮官は「今日の結果は残念だけど、これで失速するとは思っていない。気持ちを切り替えて宿敵に第1クールの借りを返していく」と話した。その第1ラウンドは、7月5日のC大阪戦。直接対決でファンを失望させるわけにはいかない。【木下淳】