コンサドーレ札幌のMFクライトン(31)が退団することが14日、クラブから発表された。古傷の右アキレスけん痛が原因で、クライトンが1、2カ月間のブラジルでの治療を希望。リハビリも含めると今季の戦列復帰は絶望的なため、両者間の話し合いの末、契約解除で合意した。現在9位と成績不振のチームにとって、中心選手の退団は大きな痛手となる。

 札幌がチームの主軸を失う、最悪の事態に陥った。MFクライトンがチームを去ることが決まった。この日、札幌・宮の沢で1時間マッサージを受けたクライトンは「チームを去るのは残念。でも足が痛くてどうしようもなかった」と明かした。15日に正式に退団会見を行い、19日にブラジルに緊急帰国することが決まった。

 苦渋の決断だった。昨年から抱えていた右アキレスけん痛が今月に入って悪化。4日の水戸戦以降、クライトンは痛みのためチーム練習にも参加できず8日の愛媛戦、11日の熊本戦ともに右足首に炎症止めの注射を打ち、試合にだけ強行出場。右足をかばいながらのプレーが続いていた。チームドクターから数カ月の治療が必要と診断されており、愛媛戦遠征前日の6日に「試合に出られないならチームに迷惑がかかる」と、自らクラブに契約解除を申し出ていた。

 三上大勝強化部長(37)は「注射が効かないほどひどくなっている。引き留めれば彼は我慢して試合に出続ける。それが原因で選手寿命を縮めるのはクラブとして本意ではなかった」と話す。1年でのJ1昇格へ向けた最大のキーマンだったが、手放さざるを得ない状況まで追い込まれていた。クライトンと強化部の話し合いの末、年俸半額、違約金なしで退団することで合意。他のJクラブへ移籍はしないという覚書をかわしており、数カ月ブラジルで療養後、母国で移籍先を探していく方向だ。

 チームにとっては大きな痛手だ。石崎監督が就任前にクラブ側に「何とか残してほしい」と指名したただ1人の選手がクライトンだった。それだけに「痛いのは当然。残念だが、いるメンバーで乗り切るしかない」と険しい表情を見せた。外国人枠が1人空くが、三上強化部長は「穴を埋める日本人のトップ下かFWの選手を補強できれば」と緊急補強を示唆した。