「戦術オタク」が、神戸再建へ動きだした。前日5日に電撃就任した神戸三浦俊也監督(46)が6日、初の指導に当たった。神戸市内の2部練習で、守備をベースとした戦術をたたき込んだ。戦術の話をすれば際限なく話し込んでしまい、かつては日本代表の岡田武史監督(52)に助言したこともある男が、熱血指導でJ1残留を目指す。

 大声がピッチに鳴り響く。「プレスをかけろ!」。三浦新監督は独自のサッカー戦術を理解させようと熱血指導を行った。まずはボールを持った選手に対しプレスをかける。そして、横パスやバックパスを奪いカウンターを仕掛けることを強く意識させた。選手たちも新監督の目指す戦術を実践しようと炎天下で、必死にボールを追った。「早くみんなの特徴を把握したい」と指揮官は充実した表情を見せた。

 日本代表の岡田監督が横浜の監督を務めていた04年に、守備戦術の助言を求められたことがある。大宮や札幌の監督時代は、早朝6時にクラブハウスを訪れ、サッカーのビデオを鑑賞する習慣があった。食事に行けば、独自の戦術理論を延々と語ってしまう。頭の中のほとんどはサッカーの戦術で占められている“オタク”だ。

 「戦術はたくさん持っている。分かりやすく指導して、理解してもらうことに自信はある。早くJ2降格圏から脱出したい。そこに全力を注ぐ」。現在15位でJ2降格圏の16位千葉との勝ち点差はわずかに3。選手が難解な“オタク”の戦術を理解できるか。J1残留の大きな鍵となる。【奈島宏樹】