浦和の18歳ルーキーFW原口元気が「ノーゴール症候群」解消の切り札に指名された。チームは14日、さいたま市内で最終調整し、15日のリーグ再開初戦でG大阪戦(万博)へ向けて実戦形式の練習を実施。これまで左MFでプレーした原口は、今季初めてエジミウソンと2トップを形成した。チームは現在、公式戦390分間で無得点。若きストライカーのスピードと決定力で、巻き返しへの足がかりを築く。

 ゴールへの飢えを満たす、絶好の機会が訪れた。G大阪戦を想定したハーフコートでの11対11のミニゲーム。原口は味方のパスを足元で受けると、ためらうことなくドリブルを仕掛け、思い切りシュートを放った。「楽しいですね。ゴールに近い位置なので、やりやすいです」。公式戦4連敗中の危機的状況で託された、最前線での「ストライカー」の役割。燃えないはずがなかった。

 ユースからトップ昇格した今季、新人ながらナビスコ杯を含む公式戦25試合、1789分間出場して2得点。FW登録とはいえ、左サイドからのスピードに乗った突破をフィンケ監督に評価され、ユース時代から慣れしたんだ左MFが主戦場だった。だが、この日はエジミウソンと2トップを組み、トップ下に高原を置く新布陣。試合展開に応じてポジションは流動的になりそうだが、原口のFWテストには「決定力の改善が、いい結果を残す前提になる」というフィンケ監督の期待が込められていた。

 浦和は、7月15日のナビスコ杯準々決勝第1戦で後半15分にエジミウソンが得点を決めて以降、390分間無得点。首位鹿島を勝ち点10差の4位から追い詰めるには、昨季以降公式戦2分け3敗の宿敵G大阪からゴールを奪い、勝って勢いづくしかない。最近の原口は、チーム状況もあって、左MFの位置で守備に追われる時間帯が多かった。「自分を含めて前線での工夫が足りないし、誰かが決定的な仕事をしないといけない」。結果に飢えている18歳は、虎視眈々(たんたん)とゴールをうかがっていた。【山下健二郎】