鹿島のベテランDF大岩剛(37)が経験豊富な「大人の守備」で首位固めに貢献する。主力DF伊野波雅彦(23)の出場停止により、19日の神戸戦での先発が決定的だ。37歳1カ月27日での先発は、センターバック(CB)を本職とする日本人選手ではJ1史上3位。5月15日の柏戦以来となる先発だが準備は万端で、リーグ断然トップの1試合平均失点(0・67点)を誇る鉄壁DF陣を引き締める。

 的確な判断力と鋭い読み、そして正確なフィード。茨城県鹿嶋市内で行われた18日の練習で、37歳の大岩の背中には、独特の風格が漂った。約3カ月ぶりの先発出場だが、余裕すら感じさせる口調で「久しぶりの先発?

 そこまで特別には考えていない。勝ち点3を取ることが大事だと思う」と言い切った。

 6月23日に37歳の誕生日を迎え、本職CBではJ1史上3位の年長先発となるが、プレーに衰えはない。5月下旬に右アキレスけんを痛め、1カ月以上別メニュー調整が続き、患部にはまだ微妙に痛みが残る。それでも「後半戦に入り相手もいろいろやってくると思うけど、それをチーム全員で乗り切るスタンスには変わりはない」と不安は感じさせない。

 普段からレギュラーの岩政、伊野波に対し「彼ら2人が気持ち良くプレーできる環境をつくりたい」と話している。神戸戦で出場停止の伊野波が「(大岩)剛さんにはいろいろと教わっている。本当にすごい存在」と言うように、プレー以外の貢献度も高い。

 前人未到の3連覇を目指す今季、鹿島DF陣のもう1つの目標がある。昨季、大分が記録した1試合の平均失点0・71(34試合24失点)を上回ることで、現在は0・67(21試合14失点)と目標到達ペース。リーグ戦では残り15分で無失点と終盤の粘り強い守備力も誇る。「(現在の失点数は)相手に与える脅威もある。もっともっと評価されていい結果だと思う。鹿島は守備が堅い伝統がある」。

 主力を欠いても、大岩の存在で王者の守りは盤石だ。【菅家大輔】