<J2:札幌3-3鳥栖>◇第35節◇22日◇札幌ド

 ハファエルがベールを脱いだ。コンサドーレ札幌は鳥栖に3―3で引き分けた。1-2で迎えた後半14分、途中出場した新戦力MFハファエル(24)がペナルティーエリア外からの豪快なミドルシュートでJ初得点を決めた。同27分には相手退場を誘う巧みなドリブル突破も見せるなど、クレバーなプレーで攻撃陣をけん引した。チームは後半ロスタイムに追いつかれドロー。残り全勝してもシーズン前に設定した勝ち点100到達が不可能になったが、新背番10を軸に最後の巻き返しに挑む。

 ハファエルが本領を発揮した。1-2で迎えた後半14分、ピッチ中央でFWキリノからのパスを受けると、ワンタッチでDFを1人振り切り、ペナルティーエリア外から強引に右足を振り抜いた。「もらった直後、前のスペースが空いたので自分で勝負した」。軽くカーブがかかったボールはGK手前でワンバウンドし、ゴール左隅へと吸い込まれる同点弾となった。

 豪快な20メートル弾で波に乗ると同27分には自陣を向いてボールを受け、振り向きざまに鳥栖DF飯尾をかわし相手ファウルを誘発した。飯尾はこの日2度目の警告を受け退場。184センチと大柄ながら、少ないボールタッチと大きな歩幅を生かし前進する独特のリズムで敵を翻弄(ほんろう)した。

 沈みかけた助っ人が輝きを取り戻した。「長い時間もらえて、やっと自分のプレーが出せた」。初出場した2日のC大阪戦では後半25分から途中出場も、コンディション不良で無得点に終わった。試合後、石崎監督から「あの程度のプレーが全力なら、ブラジルに帰ってもらってもいい」と厳しい言葉を投げかけられ闘志に火がついた。だが第一印象が災いして5日の福岡戦は後半ロスタイムからの時間稼ぎ要員。9日の東京V戦、16日の岐阜戦は出番すらなかった。雪辱となった3度目のJピッチで、ついにアピールに成功した。

 「プレースタイルが分からない」と迷っていた指揮官も今回の活躍で評価を変えた。「技術的にいいものがある。ペナルティーエリア外からのシュートも評価できる。少し運動量を増やしてくれれば良くなる」と攻撃の軸として手応えを見いだした。ロスタイムに同点に追いつかれ、消化不良の試合にあって、ハファエルのプレーが今後に期待感を抱かせた。

 30日の次節草津戦は急成長中の高校生JリーガーMF古田もU-18代表から戻ってくる。「オレはまだまだこんなもんじゃない」とハファエル。背番10と18歳の初融合で、札幌がさらなる化学変化を起こす。【永野高輔】