<J1:東京3-2磐田>◇第27節◇26日◇味スタ

 東京DF長友佑都(23)が残り8分から1得点1アシストを決めて、磐田に3-2で逆転勝ちした。10月1日の日本代表発表を前にした最後の舞台で、力を発揮した。

 「MF長友」が東京に反撃のスイッチを入れた。1点差を追う後半30分、左サイドバック(SB)から左MFにコンバートされると、持ち前の突破力で敵ゴールに迫った。7分後、MF中村のシュート気味の右クロスを相手GKが前にこぼすと、一気に詰めて右足で押し込んだ。今季初得点で同点に追いつくと、ロスタイムには左クロスでFW赤嶺の逆転弾をアシスト。大阪から上京した母美枝さんが観戦する中、1ゴール1アシストでチームをけん引し「やっちゃったよね」と興奮を抑え切れなかった。

 明大在学途中まではMF選手だった。師匠と慕う日本代表MF中村俊(エスパニョール)から「今のSBはMFのように組み立てができる能力が必要」との教えを受けて、中盤のプレーに違和感なく対応している。長友は「MFになって絶対に自分が決めてやると思った。こぼれ球も狙っていた。貪欲(どんよく)にいけてよかった」と珍しく達成感に浸った。

 走法改造でペナルティーエリア内のスピードアップに成功した。今月上旬の代表オランダ遠征前から本格着手し、土斐崎コーチから陸上短距離の基本走法を伝授された。歩幅を意識的に狭くし、出す足に体重を乗せるフォームに変更。当初はペナルティーエリアからゴールまでの18メートル走の計測タイムが2秒4だったが、現在は最速で2秒1にアップ。「世界と戦う爆発的な速さが欲しい」(長友)という意識が、代表SBを進化させている。

 素早い好クロスでアシストするだけでなく、こぼれ球に詰められる速さと決定力も兼ね備える「MF長友」は岡田ジャパンにも朗報だ。W杯本大会のメンバー選出は限られており、1人が複数ポジションをこなせる能力は魅力。逆転を狙う場面でのオプションにもなりそうだ。【藤中栄二】