<J1:G大阪2-1川崎F>◇第27節◇26日◇万博

 G大阪がMF遠藤保仁(29)の2得点で、川崎Fとの優勝戦線サバイバルマッチを制した。右足痛を抱えながら強行出場した遠藤は、前半16分に先制点を決め、同点とされた後半30分には得意のFKで決勝ゴールを挙げた。前節まで勝ち点43で並んでいた川崎Fを2―1で撃破。名古屋に敗れて3連敗を喫した首位鹿島との勝ち点差を4に縮め、J史上最大の勝ち点19差からの逆転優勝を視界にとらえた。10月1日の日本代表発表を前にした最後の舞台で、力を発揮した。

 風は遠藤に吹いた。同点で迎えた後半30分。中央付近で自ら得たFKを、遠藤が蹴った。強い向かい風を受けたボールは、左下に押し戻されるように鋭いカーブがかかり、ゴールに吸い込まれていった。苦しい時間に決めた値千金の決勝弾。決してあきらめることのないタイトルへの執念が、見えない力になった。

 遠藤

 壁の位置とGKの位置を見て、パッと(シュートコースを)イメージしながら、蹴りました。距離が距離だけに(ゴール)枠に入れば、いけるかなと。まあ入る時は入る。たまたまそれが、今日だったということです。

 前半16分にはMF二川のパスに反応し、FWのようにDFの裏に飛び出して先制弾。トップ下、ボランチと流動的に動いて攻撃を活性化し、全得点をたたき出した。今季2度目の1試合2発。右足太ももとふくらはぎ痛を抱えながらも結果を出した愛弟子に、西野監督は「毎回、言うが(思考)回路が違う。試合を読む力も、他の選手とは違う」と褒めちぎった。

 ついに“鹿のしっぽ”が見えた。3連敗した7月11日清水戦で、首位鹿島と勝ち点19差あった。以降10戦は7勝2分け1敗と猛追し、2カ月半かけて来季のACL出場圏内の3位浮上。この日鹿島が敗れて同4差(暫定)に迫った。Jの歴史で勝ち点19差からの逆転優勝は例がない。ACL連覇の夢が消え、リーグ戦でも泥沼にはまった時でさえ、遠藤は同じ言葉を繰り返してきた。

 遠藤

 ボクは1度でも優勝をあきらめることはないです。1戦、1戦、力を出せば(奇跡は)やれると思っている。

 残り7試合。遠藤が奇跡のドラマを生み出していく。【益子浩一】