<J1:大分2-1清水>◇第29節◇18日◇九石ド

 勝たなければJ2降格が決まっていた大分が、気迫の逆転勝ちで阻止した。前節首位の清水と対戦。後半5分に先制されたが、FW高松大樹(28)が2発を決めて逆転。右足首の負傷で出場さえ危ぶまれていたが、主将は痛め止めを打っての強行出場でチームの危機を救った。今季わずか1得点だったが、がけっぷちで底力を発揮。J2降格危機は続くが、気迫の勝利は残り5試合の奇跡にひと筋の光を灯した。

 まさに執念だった。負ければどころか、引き分けでもJ2降格が決まる、まさにがけっぷちに大分はいた。しかも、清水に先制点を許す苦しい展開。しかし、あきらめない男がいた。試合後に高松は言った。「ここで負けたら終わり。あきらめていないことをみんなに教えたかった」。

 チーム生え抜き、10年目の大黒柱が絶対絶命の窮地を救った。後半13分に右足で同点ゴールを突き刺すと、同33分には得意のヘッドで逆転弾。決まった瞬間、イレブンは優勝したかのように抱き合って大喜び、スタンドからは「高松コール」が地鳴りのように響き渡った。

 右足首の痛みで、出場さえ危ぶまれていた。痛み止めを打って「やれるところまでやる」と強行出場。後半から痛みが出始めた。しかし「この試合は落とせなかったので痛みは忘れた」と気力で痛みを吹き飛ばした。ポポビッチ監督は「大事な試合ということで、責任を背負っていた。最高の形で期待に応えてくれた」と奮闘をたたえた。

 責任を背負っていた。今季は開幕早々、右足かかとの疲労骨折で長期離脱しチームに迷惑をかけた。リーグ戦ではエースながら、ここまで1得点。主将としての責任を果たせていない思いに悩み、初めて腸炎にかかったこともあった。ボロボロになりながらも、チームを救いたい思いだけは捨てなかった。この日、母校高川学園(山口)のサッカー部員80人を招待。後輩たちの目に戦う男の姿を焼き付けた。

 「(J1残留に)わずかな可能性を信じてやるだけ。勝ち続けるしかない。一丸となってあきらめないでやっていく」。試合後、腫れた右足首にアイシングし、引きずる姿が痛々しかったが、表情は晴れ晴れとしていた。がけっぷちの状況は最後まで続く。それでもかすかな希望を抱いて残り5試合を戦える、気迫の逆転勝利だった。【菊川光一】