J2仙台の手倉森誠監督(41)が27日、天皇杯3回戦のJ1大宮戦(31日、NACK5)にフルメンバーで挑む意向を明かした。7シーズンぶりのJ1復帰がかかる11月8日のアウェー水戸戦に向けて、今季47試合に皆勤するMF梁勇基(27)ら主力を温存しても不自然ではないが「選手には全力でJ1にぶつかろうと話した」と明言。来季への布石として現状の実力を試し、昇格に弾みをつける。

 J1復帰に王手をかけてから再始動したこの日、手倉森監督がイレブンを集めて「大宮戦はベストメンバーで勝ちに行くぞ」と伝えた。J1東京と対戦した昨年度の天皇杯4回戦は、その直前のJ2リーグ戦(対C大阪)から先発5人を入れ替えて昇格争いを優先。梁らを温存して1-2で敗れたが、今回は違う。梁は「去年は休ませてもらったけど、今年はJ1との力試しのチャンスを生かしたい」と、ガチンコ対決に思いをはせている。

 1年間の成長を測る好機だ。残留に近づいたとはいえ大宮は現在、降格ラインぎりぎりの15位。16位の磐田と対戦した昨季の入れ替え戦に近い状況で「あれから約1年。チームとの相性もあるけど、今の力でJ1と戦ってみてどうなるか。トライしたい」と手倉森監督の鼻息も荒い。

 試合間隔の面でもメリットが大きい。10日の天皇杯2回戦(対ツエーゲン金沢)では主力組を温存した結果、リーグ戦に11日間の間隔が生じ、翌週に急きょ練習試合を組んで調整した。だが「大宮戦に出場することで週1回の試合ペースを保てるし、次の大事なリーグ水戸戦に向けて勢いがつく」と指揮官。その後に及ぼす好影響に期待した。

 勝てば11月15日の4回戦に進む。手倉森監督は「11月にゲームの穴を空けたくない」と3回戦突破を狙った上で「(昨季J2優勝の)広島は8強まで進んだ。負けてられない」と、さらに上を見た。MF梁も「J1相手に力を出し切らないと、課題も見えてこない。できること、できないことを知るために挑む」と全力宣言。来季に向けた思惑をめぐらせながら、J1に胸を借りる。【木下淳】