Jリーグが、経営難に陥った大分に対し、総額6億円に及ぶ巨額融資を行うことになった。17日、東京・本郷のJリーグで理事会が行われ、公式試合安定開催基金の投入が承認された。同基金の残高は約10億円で、半分以上を大分に貸し出す異例の事態となった。また、東京Vは、Jリーグから課された5億4000万円のスポンサー料を確定し、新経営陣による来季のクラブ運営が承認された。岐阜の基金返済の延長も承認されるなど、クラブの経営難が浮き彫りになる理事会となった。

 状況は予想以上に悪化していた。鬼武チェアマンは「経営破たんに近いといっても、過言ではない」と厳しく言い放った。大分は今月末までにつなぎ融資の返済に2億円、人件費支払いなどに1億5000万円、計3億5000万円が必要だった。選手への給与も払えない状況で、今季残りの公式戦続行すらままならない。やむなくJリーグは、この3億5000万円を「公式試合安定開催基金」から融資することを決めた。J1クラブに対しては初。クラブの再建計画が未策定のため、返済期限は設定していない。

 大分はここ数年黒字が続き、借入金の返済も順調に進んでいた。だが、J2降格が決まった今季は、スポンサー収入や入場料収入が当初の見込みより大幅に減少、資金繰りが悪化した。Jリーグが把握している大分の累積損失は約11億円、債務超過は約5億6000万円で、来年1月末の借入金は約12億円と推定している。

 同チェアマンは2億5000万円の追加融資を含めて「6億円の融資枠を用意した。基金の本質から外れるが、広義にとらえ融資をする」と話した。6億円といえばJ2の複数のクラブの年間予算に匹敵する。当初見込まれていた額の3倍にあたる、前代未聞の巨額融資だけに、同チェアマンは「基金の残額は現在10億円。この半分以上を貸し付けることになる。クラブと大分県、地元の皆さんにはこのことを十分に認識していただきたい」と付け加え、「経営体制の刷新が必要となる」とした。

 東京V、岐阜とともに、ここに来てJクラブの経営難問題が一気に露呈した。同チェアマンは「私には経営を監督する義務がある」と話し、現在ライセンスを発給中のリーグ公認ゼネラルマネジャーの登用を、リーグの参加条件とする「クラブライセンス制度」の早期導入を示唆。「フットボールと経営どちらにも精通している人材が必要」と指摘していた。