浦和は29日、チーム強化の責任者である信藤健仁チームダイレクター(TD=49)が体調不良で休養に入ることを発表した。信藤TDは、24日の精密検査で甲状腺の機能に障害が認められ、治療が必要と診断された。当面は、橋本光夫社長(60)がTD職を「兼任」する。一方で、後任人事の選定も進めており、ゼネラルマネジャー(GM)の有力候補に、浦和OBで現サッカー解説者の柱谷幸一氏(48)が挙がっている。年明けにも新体制でスタートする方針だ。

 巻き返しを狙う来季に向けた戦力補強を進めている真っただ中に、浦和の強化トップが離脱した。信藤TDは21日の磐田戦終了後に動悸(どうき)、手足のしびれなどの体調の異変を訴えていた。24日に埼玉県内で精密検査を受け「無痛性甲状腺炎」で休養が必要だと診断された。この日、さいたま市内のクラブハウスを訪れた橋本社長は「戦力補強の交渉も残っている。重要な時期。痛手ではある」と、疲労感をにじませた。

 仁賀チームドクターは病状について「疲労やストレスも原因の1つ。1、2週間単位で治るものではなく、月単位で治っていくといわれている」と説明。現段階で、来季終了まで契約が残っている信藤TDの復帰のめどは立っていない。だが、橋本社長は「まずは対応するのが大事。必要なら私が(交渉に)行くこともある」。クラブの強化業務に携わった経験はもちろん、サッカーのプレー経験さえないが、後任は立てず、自らTD職を「兼任」するという。選手にも、この日の練習前に伝えた。

 退団が確実なDF闘莉王は「レッズはそういうところで遅れている。本当に選手を大事に思っているのかを見せないといけない。どこのクラブも先に動いている。戦力はダウンしているのに、(新たな選手は)入ってこない」とクラブの方針に不信感をあらわにした。

 橋本社長は「先のことは考えていない」と、TDの後任人事について言葉を濁したが、水面下では浦和OBの柱谷幸一氏を、信藤TDに代わるGMの有力候補に挙げている。だが、それも年明け以降の予定。来季の陣容がほぼ固まる年内は「手負い」の状態のままとなりそうだ。【今井恵太】