史上初の3連覇か初戴冠か。J1は5日、運命の最終節を迎える。勝てば無条件で3連覇の首位鹿島はアウェーで浦和と対戦。4日のミーティングでは、オズワルド・オリベイラ監督(59)が得意の「必勝VTR」を選手に見せ、選手の闘争心をあおった。

 前人未到の3連覇へ向け、完全に戦闘モードに入った。この日の練習後、主将のMF小笠原は「優勝がかかるから特別な試合なのではなく、おれらに負けていい試合はない。いつものように良い準備するという気持ちに変わりはない」と静かに闘志を燃やした。

 試合前日の練習前では異例のミーティングを実施。わずか30分の間にオリベイラ監督が選手の心に火をつけた。流した映像は、2人の退場者を出しながら勝った07年第33節のアウェー浦和戦。08年の2連覇を決めた最終節札幌戦、そして今季開幕戦で完勝した浦和戦のダイジェストだった。

 特に07年のアウェー浦和戦は完全アウェーの状況下で数的不利をはねのけ勝利し、逆転優勝への鍵となった印象的な一戦。これまで選手の家族のメッセージVTRを流すなど、試合前に手を替え品を替え選手を高揚させてきた「オズの演出」が土壇場で施された。

 自力優勝のためには浦和戦の勝利が必要不可欠。だからこそ、終盤戦に入り絶好調のMF野沢は「今までやってきたもののプラスアルファを出したい」と話し、FW興梠は「ぼくらは勝つしかない」と言い切っていた。【菅家大輔】