史上初のリーグ3連覇を成し遂げた鹿島の主将MF小笠原満男(30)が、最優秀選手賞(MVP)に選出された。Jリーグ・アウォーズが7日、東京・JCBホールで行われた。小笠原は日本人8人目のMVPとなったが、日本代表に全く絡んでいない「代表無印」の日本人選出は史上初めての珍事となった。新人王は横浜FW渡辺千真(23)。ベストイレブンは史上初めて外国人なしだった。

 静かに喜びをかみしめる姿が小笠原らしかった。昨年9月の左ひざ重傷、10月の手術を乗り越え、驚異の回復力で今季開幕に間に合わせた男は「故障から復帰してこのような賞をもらえたのは価値があると思う」。自身初のMVP受賞を冷静に受け止めた。

 過去7人の日本人MVPは、全員がその年に日本代表として活動。01年の藤田はAマッチ出場はゼロだったが、同年のコンフェデ杯予備登録などには入っていた。小笠原は今年、70人以上が入ったアジア杯予選予備登録にも漏れ、まさに「無印」。代表と全くかかわらない選手のMVP受賞は初。異例の選出だった。

 来年6月のW杯開幕まで、あと6カ月。決して日本代表入りをあきらめたわけではない。普段から「代表はサッカー選手の目標だと思う。そういう場所でやりたい気持ちはありますね」と明言する。鹿島への貢献第一とは言え、常に代表への思いを抱いている。

 06年のドイツW杯以来、代表入りはない。だが、この日発表されたベストイレブンは小笠原以外は代表組。鹿島のオリベイラ監督が「小笠原が(来夏の)W杯をテレビ観戦してはならない。その才能は現在の代表選手を下回らない」と話したように、代表組と比べても実力に遜色(そんしょく)はない。

 来季の目標については「リーグ4連覇、ACLも取りたい。ナビスコ杯も天皇杯も全部取りたい」と言い切った。クラブでのさらなる栄冠、そして代表復帰へ-。小笠原はさらなる高みを目指す。【菅家大輔】