「ジュビロに残ることに決めました」。G大阪から獲得オファーを受けていたJ1磐田FW前田遼一(28)が9日、磐田残留の決断を自ら語った。すっきりした表情で、来季の上位進出とW杯南アフリカ大会出場に意欲を示した。クラブが提示する2年契約を受けるもようで、今季20得点を挙げ、得点王の放出を免れた柳下正明監督(49)も胸をなで下ろした。

 FW前田の残留宣言に、柳下監督は安堵(あんど)の表情を浮かべた。「正直ホッとした。軸になる選手が残ることで、今年やってきたことを来季に上積みをしていける」。獲得オファーを受けてから、あえて前田には何も言わなかった。「選手としてステップアップは誰も望むこと。それを自分で判断できる選手だからね」と、選手の立場を理解する親心をのぞかせた。

 チームの全50得点のうち20点を挙げ、得点王に輝いたエースの残留が、何よりも来季に向けての「補強」になる。「今季全試合フル出場できたことで、自分のスタイルを作りあげることができたと思う」と、得点力以上にシーズンを通して計算できる選手として信頼は厚い。一方で期待を込めて課題も与えた。今季実は得点20に対して、アシストはわずか1。「前線では2タッチで簡単にはたいて起点になれれば、増えていくのでは」と期待を寄せていた。