川崎Fの関塚隆監督(49)が16日、クラブからの続投要請を固辞し、今季限りで退団することになった。今季、初タイトル獲得を目標に掲げながら無冠。リーグ2位、ナビスコ杯準優勝ながら「強い責任を感じている」というのが理由だ。タイトルの有無にこだわらない条件で続投をオファーし、関塚体制で来季の編成を進めていたクラブ側は、突然の辞意に後任の人選に追われた。高畠勉ヘッドコーチ(41)の昇格を軸に調整を進めるとみられる。

 続投濃厚とみられていた関塚監督が下した決断に、クラブ側は驚きを隠さなかった。この日午前、同監督は武田信平社長らフロントと会談。席上で「やはり来季の指揮をとることはできません」と続投要請を断った。関塚体制で来季編成を進めていた庄子春男強化部長は「続投を信じていた。ショックが大きい」と困惑していた。

 リーグ戦終了前の11月下旬、手腕と実績を評価するクラブ側は、タイトルの有無にこだわらない形で同監督に続投要請する方針を固め、同監督も前向きに受け止めていた。ところが最終節まで優勝を争ったリーグ戦が昨年同様2位に終わり、続く天皇杯も準々決勝でJ2仙台に敗れた。15日に同監督は「今季の成績に強い責任を感じる」とクラブからの続投要請を保留していた。

 クラブ幹部は「最後の望みをかけた天皇杯の敗退が気持ちを一変させたようだ」と話す。契約内容をめぐる問題もなく、来季編成についての方向性も一致していたという。一方で補強をめぐり同監督が不満を持っていたという情報もある。同監督はこの日「タイトルが取れなかったことを真摯(し)に受け止めてお断りをさせていただきました」とコメントを発表した。

 各選手にはクラブ側が急きょ電話で伝えた。今季全日程を終了した15日の解散式で、同監督は「申し訳ない」とタイトル獲得失敗を謝罪したが、選手たちは一様に続投を信じていた。庄子氏は「反応はさまざまだったが、みな驚いていた」という。突然の続投要請固辞を受け、クラブは後任の人選に追われているが、高畠ヘッドコーチの内部昇格が有力視される。同コーチは昨年、体調不良で辞任した同監督に代わって指揮をとり、リーグ戦2位の好成績を残している。