【グアム26日=山崎安昭】南国の地で、昨季の「トラウマ」をあえて思い出させながら、J1山形が1次キャンプをスタートさせた。前日25日の到着後、軽いランニングで汗を流したが、この日が実質的にキャンプ初日。午前トレでいきなりボールを使用し、公式戦さながらの激しさでミニゲームを敢行した。シュートを外すと小林伸二監督(49)が怒声で一喝。昨季、泣かされた得点不足解消への決意を、進軍ラッパに込めた。

 「決めるところ、決めろっ!」。小林監督の大声がグアムの空に響き渡る。フィジカルトレに主眼を置く今キャンプの初練習で、ガツガツ競り合いながらのミニゲームを課した。2タッチ以内に制限してスピーディーな攻撃を要求。「ゴールを意識しろ!」「スペースへ速く動け!」。矢継ぎ早に指揮官は発し続けた。

 今季からJリーグで使用される、W杯南アフリカ大会公式球を使ってのミニゲーム。慣れないのは致し方ない。それでも昨季リーグでワースト2位タイの32得点、史上初の1試合シュート0、天皇杯で明大相手に完封…と、負の歴史を作った攻撃力不足の解消は不可欠だ。開幕まで1カ月あまり。克服する時間は、そう多くはない。

 MF宮沢が「みんながレベルアップしないといけない」と話すように、選手も指揮官が発するゲキの意図をくんでいる。小林監督は「(新加入の)田代と増田がいたチームが勝った。あのへんに(決定力の)差がある。でもみんな、動きは良かったよ」と一定の評価を与えた。2年目のJ1で成長した姿を見せつけるために、あえてシーズン始めに「トラウマ」を、指揮官がほじくり返した。