山形の「ツインタワー」が、ついにベールを脱ぐ。宮崎キャンプ中のJ1山形が23日、紅白戦を行い、今季初めて181センチFW田代有三(27)と187センチFW長谷川悠(22)がツートップを形成。初コンビとは思えないコンビネーションを見せ、24日の練習試合(対J2岐阜)に備えた。小林監督も「どういう感じになるか私も分からない」と期待する大型ツートップが、3月6日のリーグ開幕戦(対湘南)に向け試運転する。

 大柄ながら俊敏さも兼ね備える2人が、前線で相手DFラインをかき回し続けた。長谷川が開けたスペースに田代が飛び出し強烈ボレーを放てば、田代の出したパスを長谷川がダイレクトで蹴り込む。2人と対峙(たいじ)したGK清水が「迫力があって怖かった」と振り返るほど、威圧感たっぷりだ。

 田代は「まだまだこれから」と課題を口にしたが、初コンビでも呼吸が合った理由がある。グアムでの1次キャンプ中、長谷川は自身の成長のため「田代密着マーク」を宣言し、常に田代を目で追っていた。相棒の特長を、長谷川が掌握したため「なんか、やりやすかった」と目を細めた。

 MF宮沢が「デカイ的が2つあってクロスを入れやすい」と話すようにイレブンは、ツインタワーへの高さに期待する。ただし、小林監督は「落とし穴」にはまらぬよう岐阜戦で、ある制限を課す。ハイボールでのクロス禁止だ。指揮官は「大きな選手が前線に入ると、アバウトなボールを入れがちになるから、低いボールを入れさせる」と説明。単調な攻撃の回避と、足元のボールも器用にさばける「走り回れる大型FW」という2人の特長を、消さないためだ。

 指揮官自ら「どんなふうになるのか、見てみたい」という“建設中”のツインタワー。右足首痛の長谷川も、開幕へ間に合わせようと調整を急ぐ。開幕ピッチに2人がそびえ立てば「10年型モンテ」として、強烈に印象づけられるはずだ。【山崎安昭】