横浜の日本代表MF中村俊輔(31)が、欧州3クラブで磨いた自分の感覚を信じて、約7年半ぶりのJリーグ復帰戦に臨む。13日の湘南戦(日産ス)で右MFで先発する。Jリーグ公式戦は02年7月21日の東京V戦(国立)以来。エスパニョールを退団し練習合流から1週間あまりで、実戦練習の機会は乏しく、連係に課題を残すが、中村は「真っ白な状態で感覚を大事にしたい」ときっぱり。セリエA、スコットランド、スペインと厳しい環境を戦い抜いた経験を生かし“ぶっつけ本番”を乗り越えるつもりだ。
日本代表の司令塔・中村は虚勢など張らなかった。横浜市内で行った全体練習終了後、抱える不安を隠さず語った。「時間がなかったので(連係は)難しいですね。うまくいかない時もあると思いますが、粘り強く辛抱強くやっていきたい」。言葉にも、表情にも、力みはない。万全ではないことをあっさりと認めた。
主力選手と実戦で連係を確認できたのは、11日の紅白戦だけ。「小さいゾーンで人数を割いて攻める」というスタイルの横浜のサッカーと、「選手の間隔が広く自分のキックが出しやすい」という慣れ親しんだスコットランドなど欧州との違いは明らか。愛着のある古巣といえども「特殊な感じがした」と、試合前日になっても違和感はぬぐえないままだ。
W杯イヤーを迎え、出場機会を求めての約7年半ぶりの横浜復帰。視察を予定している日本代表の岡田監督はもちろん、横浜サポーターら幅広いサッカーファンの目が、3万人以上の集客が見込まれる湘南戦に集中する。「あまりボールに触ることがなく(自分のプレーに)インパクトがなかったなと思われるかも知れない。そこらへんをどうしようかなと考えています」。日本代表の主力として、横浜の「救世主」として、中村のような限られたトップ選手だけが背負う重圧も率直に口にした。
スペインからの移籍問題を抱え「1カ月半ぐらいはメンタル的に疲れていた」という。11日の紅白戦終了後は疲労を感じさせたが、12日は笑顔も見せ、冗舌だった。吹っ切れたように言った。「頭で考えすぎず、試合に入るときは真っ白な状態で、感覚でやっていく」。さまざまな不安材料に対する自分なりの打開策を思い描いていた。
この7年半、渡り歩いた3つのクラブで、文化や言葉の違いを乗り越えながらチームに溶け込む努力を重ねてきた。「セリエAなんか連敗した時、プレッシャーのかかり方が違うからね」。Jリーグではあり得ないような厳しい環境で順応してきた。今回の準備時間は約1週間と短いが、体に染みついている順応力を独特の「感覚」で呼び覚ますつもりだ。
湘南の反町監督が「俊輔を使うとマイナスもある」と挑発気味に発言する中、中村は「W杯へのアピールより、まず勝つことだから」と自然体で臨む。得意のFKも「自分も柔軟になったのか、年を取ったのか、ほかの選手に蹴らせたりして(キッカーは)自分だけじゃないというところがあってもいい」と言う。02年7月21日の東京V戦以来2792日ぶりとなるJリーグのピッチ。不安と重圧をはねのけ、開幕戦黒星の横浜を勝利に導くことができるか。【松田秀彦】



