<J1:磐田4-3G大阪>◇第5節◇4日◇ヤマハ

 磐田が勝った!

 J1磐田がG大阪との「未勝利対決」を4―3で制し、ついに今季初勝利を挙げて最下位を脱出した。3度もリードしながら、その都度追いつかれる冷や汗もののシーソーゲームだったが、後半37分に韓国代表候補DFパク・チュホ(23)が、この日2得点目の“値千金弾”を決めて決着をつけた。エースFW前田遼一(28)も、2得点1アシストと大活躍。守備で課題を残したが、3月の公式戦5戦未勝利の苦闘を乗り越え、4月初戦で大きな勝ち点3をつかんだ。

 ついに勝った。やっとつかんだ。長いロスタイムを耐え忍び、長い長いトンネルからようやく抜け出した。今季初勝利は、リーグ戦では昨季10月3日の柏戦以来約6カ月ぶり、ホームでは、同9月19日京都戦以来197日ぶりだ。柳下正明監督(50)は「選手たちが勝利への執念をグラウンド上で表現してくれた。サポーターにも勝利をプレゼントできた」。興奮冷めやらぬ表情で話した。

 まれに見るシーソーゲームを、最後まで主導権を渡さず制した。3―3で迎えた後半37分、相手ゴール前へ強引なドリブル突破を仕掛けたDFパクが、相手DFともつれながら体ごと押し込み決勝点。同30分の初ゴールに続くこの日2得点目を挙げた。エース前田が先制弾を含む2得点1アシストで3度勝ち越し、3度追いつかれた。だが、決して攻撃的姿勢を忘れなかった。後半25分にDF金沢が入り、パクを中盤に上げた積極策が功を奏した。

 勝利を切望して、サポーターの声援も味方につけた。キックオフ前のコイントスで勝った那須主将は、陣地の変更を選択した。通常磐田はヤマハでの試合では、前半にホーム側スタンドを背にして戦っていた。だが、今回はあえてG大阪サポーターが陣取るアウェー側を選んだ。前日、最後に勝った昨年10月のアウェー柏戦で先発初勝利を挙げたGK八田から「後半サポーターの声援が心強かった」と聞いた主将は「できることはすべてやろう」と決断。勝負どころの後半に、文字通り大声援の「後押し」を受け、勝ち切った。

 順位はJ2降格圏を脱出し15位に浮上した。一方で3失点を喫した守備での課題も浮き彫りにはなった。だが、マン・オブ・ザ・マッチに輝いたパクは「ここからチームは上がっていくと思う。この勝ちはでかい」と言い切った。確かに序盤は出遅れた。だが、初勝利とともに、大きな自信と勝ち点3を得た。ここから上位チームに襲いかかる。【栗田成芳】