<J1:広島1-0名古屋>◇第4節◇21日◇広島ビ

 広島FW佐藤寿人(28)が終了間際の決勝ゴールでW杯最終メンバー入りを猛アピールした。名古屋戦の後半43分、角度のない位置から、日本代表GK楢崎のまたを抜く「E難度」の芸術弾で、1-0勝利を呼び込んだ。日本代表DF闘莉王が統率するDFラインの裏を取る動きなど、当落線上に位置する男が見せ場をつくって、試合も決めた。

 試合終了後、佐藤は真っ先にFW李に駆け寄った。決勝点をアシストした李と抱き合って喜びを分かち合うと、お立ち台で「うれしいです。サポーターのみなさんのおかげです」と絶叫した。5月10日にはW杯メンバー23人が発表される見込み。初のW杯出場へ-。当落線上の点取り屋が、ワールドクラス弾で大きくアピールした。

 後半43分、ペナルティーエリア内左奥。ドリブル突破した李からの浮き球パスに反応し、角度のないところから左足を振り抜いた。「すべてにおいて能力が高い」と認める楢崎の股間(こかん)をものの見事に抜いた。「打ってくれ、と言わんばかりのパスだった」と笑った。

 日本代表の守護神・楢崎、DFの要・闘莉王ら擁するJ屈指の堅守をこじ開けたい気持ちは強かった。「際どいシュートでゴールを狙う」と言い聞かせて臨んだ。徹底マークされた。FWマギヌンのひじを顔面に受け、闘莉王の激しいタックルに遭った。そのなかで、最終ラインからのロングパスに抜け出し、敵陣深く攻め込む。さらにペナルティーエリア内で切り返しを試み、ゴールへ迫った。

 前半、後半ともに放ったシュートは1本ずつ。チームはリーグ戦で3戦連続無得点だったが、芸術的なゴールで4試合ぶり勝利、7位浮上に貢献した。岡田ジャパン浮沈の鍵は「FW選考」とみられている。2月の東アジア選手権以降、招集されていないだけに「ちょっと難しい」と言うが、懸命のアピールでW杯メンバーを目指す。【佐藤貴洋】