ベガルタ仙台FW平瀬智行(32)が、1639日ぶりにJ1の舞台で先発出場する。今季全10試合でスタメンを張るFW中原が左胸を打撲。代わって、9日のホーム名古屋戦(ユアスタ)で今季初、J1では神戸時代の05年11月12日(川崎F戦)以来のチャンスが浮上した。5戦勝ちなしの逆境を乗り越えるべく、名古屋戦で過去15戦7発のベテランが奮い立つ。

 平瀬の先発起用が、紅白戦でいきなり機能した。前線でボールを収めて起点になり、チャンスとみればDFラインの裏を突く。終盤には、MF関口にスルーパスを要求して最終ラインを破り、右足でゴールネットを揺らした。

 平瀬

 (得点場面を振り返り)最近、あの場面はロングボールが多くて攻撃が単発だった。でも、今回はMF梁が2列目から上がって、敵を引きつけてくれたからオレが決められた。

 FW中原の高さに頼り、ロングパス一辺倒だった流れが変化した。前線で起点になる平瀬の「2列目、3列目が上がるスペースを作ることも大切」という献身的なプレーは、攻撃に厚みを生み、名古屋対策にもなる。相手DFは185センチの闘莉王、191センチの増川ら長身ぞろい。手倉森監督も「高いクロスより下でつなぐ方が効果的」と地上戦に持ち込むつもりだ。

 期待される平瀬は、約4年半ぶりのJ1先発チャンスにも「気にしてない。J1もJ2も大事な試合に変わりないから。自分の得点よりチームが勝てれば」と笑った。言葉は無欲だが、名古屋戦は好相性だ。97~05年に鹿島、横浜、神戸で計15回対戦し7得点(リーグ8戦2発、ナビスコ杯6戦5発、天皇杯1戦0発)。「なぜか名古屋は得意なんだよね」。05年8月24日浦和戦以来1719日ぶりのJ1得点も狙う。

 試合当日は日本代表の岡田監督が視察予定。W杯の代表メンバー発表前日、ベガルタの元代表戦士も健在を見せつける。【木下淳】