J1磐田GK川口能活(34)が9日、大久保グラウンドで行われたFC刈谷との練習試合直前、右内転筋に違和感を訴え欠場した。4月、右脛骨(けいこつ)骨折の重傷から7カ月ぶりに実戦復帰を果たし、この日初めての90分フル出場を予定していた。励みにしていた10日の日本代表W杯メンバー発表前に完全復活できず、無念の胸中を明かした。

 悲痛な表情で、川口がピッチから引き上げた。FC刈谷戦に向けたウオーミングアップ中、ロングキックを蹴った瞬間、右内転筋に違和感が走った。トレーナーとストレッチを行い、何度もボールを蹴って確かめたが、なくならない。キックオフ直前になって出場を断念した。川口は「痛みというほどではないが違和感があった。そういう不安要素はないと思ったが、まさかこうなるとは…」と、さすがに力なく話した。

 9日、復帰後初めて90分フル出場を予定していた。4月25日の練習試合で後半23分までプレーし、右脛骨(けいこつ)骨折の重傷を負った09年9月以来約7カ月ぶりに実戦復帰した。リーグ3連戦が行われていたため、練習試合を組めずようやく迎えた一戦。8日もハードメニューをこなし、試合に備えていた。

 10日には、W杯メンバー23人が発表される。岡田監督はコンディションも重視。7カ月以上も公式戦から離れていた川口にとって、事実上選出は厳しい状況だった。しかし、代表復帰を目標に苦しいリハビリも乗り越えられた。発表前日に公式戦ではないが、90分間ゴール前に立ちはだかることで、少しでも実戦感覚を取り戻し、運命の日を迎えたかった。これまで「きっと岡田さんは見てくれている」と言い続けてきたが、覚悟を決めたのだろう。冷静に切り出した。

 川口

 メンバー入りは難しい状況だと思う。公式戦にも出ていない。ここでもし、選ばれるようなことがあったら、ほかのGKにも申し訳ない。でも、選手である限り、こういう戦いは続いていくと思っている。

 川口の戦いは、まだまだ終わらない。【栗田成芳】