<J1:G大阪1-0山形>◇第16節◇1日◇金沢

 G大阪が超異例の「ノートップ」で、今季初の連勝をもぎ取った。前半32分にMF橋本英郎(31)のゴールで先制すると、西野朗監督(55)は後半途中からFW全員をピッチから外す守備的布陣を敷き、山形に辛勝。まさに「省エネ」で8位に浮上した。

 なりふりかまわず今季初の連勝をつかんだ。終盤にはDF山口を投入し、5バック気味にして山形の攻撃に耐えた。前線に「FW」はいない。まさに最終ラインと、中盤だけの超守備的布陣だ。気温33度、湿度66%。蒸し暑い北陸金沢で、執念の勝利。戦いを終えた西野監督は、額から落ちる汗をぬぐいながらホッとした表情で言った。

 「結果が出て何より。目指しているスタイルとは程遠いが、悪いには悪いなりの試合ができた。(布陣は)ノートップ。守備の安定を考えた。いつもなら2点目を狙いに行きますけれど(攻撃の)カードを切るか…。さすがに切れなかったですね、今日は…」。

 省エネで勝った。前半32分には突然、ナイター照明が停電するアクシデントに見舞われた。主審が試合を止めるか迷い、山形の選手の足も一瞬だけ止まった。そのスキを見逃さず、DF安田のスローインを起点にしてMF橋本のミドルシュートで先制した。超攻撃を看板に掲げるチームが、後半は「ノートップ」を敷き、最後は完全に引いて守った。照明も試合内容も“節約”して白星をつかんだ。

 真夏の連戦は想像を絶する過酷さだった。7月24日横浜戦からは9日で3試合の日程。この日は本拠地試合とはいえ、金沢までバスで4時間近い移動が課された。橋本は「内容で下を向く必要はない。最低限、負けない、引き分けない、試合はできた。(壁を)超えた」と前向きにとらえた。来季のACL出場圏となる3位名古屋とは勝ち点8差の8位。「したたかさ」を身に付けたG大阪が、これからも着実に勝利を重ねていく。【益子浩一】