<J1:G大阪1-1鹿島>◇第19節◇17日◇万博

 元日本代表MF橋本英郎(31)が、5戦連続ゴールで敗戦危機のチームを救った。1点を追う後半45分、右足ボレーで起死回生の同点弾。土壇場の1発で王者鹿島に1-1の引き分けに持ち込んだ。31歳2カ月での5戦連発は、中山雅史(現札幌)を抜いて、Jリーグの日本人最年長記録。価値あるドローで、G大阪は暫定5位に浮上した。

 劇的な1発だった。1点を追う後半44分32秒。敗色濃厚の状況で、超満員の本拠地万博が大歓声に包まれた。MF宇佐美の左からのクロスを、ゴール右前のFWチョ・ジェジンが頭で折り返した。中央にいた橋本に迷いはない。右足ダイレクトでボレーシュートを決めた。真夏の夜空へ、両腕を高く広げた。

 橋本

 (ボールが)来るんじゃないかという思いはあった。シュートはラッキー。そこまでミートしていませんから。好調の要因は運ですかね。流れが来ている。(FWをやっていた)昔の感覚を思い出した。

 7月28日神戸戦から自身の記録を更新する5戦連発で、4連覇を狙う鹿島の白星を阻止した。31歳2カ月での5戦連発はJリーグ日本人最年長記録。ベテランが記録的な猛暑を吹き飛ばす大活躍だ。本来は守備的MFで地味な存在だったが、ド派手な活躍でチームを優勝戦線へ導いた。西野監督は「神懸かっている。フィニッシュへの自信と言うか、今はエースと言っていい」と絶賛した。

 W杯南アフリカ大会のメンバー入りは逃したが、岡田ジャパンでは常に代表に呼ばれてきた。クラブでも欠かせない存在だが、勤勉な男らしく、常に危機感を抱く。本職のボランチは遠藤と明神が不動。それに加えMF陣には18歳宇佐美ら若手が台頭してきた。

 橋本

 ヤット(遠藤)とミョウ(明神)のボランチには割って入れない。フタ(二川)のようにスルーパスも出せない。自分が生き残るためにどうしたらいいか考えた時、ゴールを追求するしかなかった。

 岡田監督と同じ大阪屈指の進学校・天王寺高出身で、当時所属したG大阪ユースでは前線で自由な動きを任されていた。13年の歳月をかけて、再び攻撃的MFとしての得点感覚を取り戻した。次戦は首位名古屋戦。成長続ける31歳に導かれ、G大阪が頂点を目指していく。【益子浩一】