鹿島のロッカールームが高度情報解析室に変ぼうする。10月のリーグ戦から、ソニービジネスソリューション社によるリアルタイムプレー解析システムを、本拠地カシマスタジアムに導入する予定であることが16日、分かった。関係者によると、クラブ自前のデータ収集装置が試合会場に設置されるのは、国内初という。

 このシステムは、3台の俯瞰(ふかん)カメラの映像を、撮影後すぐに自動解析。そのため試合前半戦の両チームのプレー解析データをもとに、ハーフタイムのミーティングを行うことも可能になる。実際にクラブもそうした運用を視野に、ロッカー室にデータ端末を設置する準備を進めている。

 精密なデータ解析を好むオリベイラ監督も、システムのプロトタイプを目にして「すぐに使いたい」と絶賛。MF中田も「相手のプレーの傾向も分かるのはいいかもしれない。試合の後半戦に向けて、チームの方針を修正しやすくなると思う」と話した。

 ファンへ向けたサービスにも援用される。10月には無線LANでの携帯ゲーム機へのプレー映像配信も、会場の一部で開始予定。クラブはこの映像に選手の走行距離や最大瞬間走行スピードなどのデータを添えることも検討している。解析用の映像自体も、テレビなどでの2次利用が可能だ。

 鹿島はリーグ3連覇が始まった07年には、逆転で6勝していた。だがその後は08年2回、09年1回、今年も1回しか逆転勝利していない。解析データによりハーフタイムに的確な修正ができれば、苦手の試合展開をものにできる可能性も高まる。新たな武器を手に、鹿島が逆転Vへ加速する。