浦和の「秘密兵器」が、いよいよJ初先発のピッチに立つ。浦和ユースのU-19(19歳以下)日本代表DF岡本拓也(18)が、18日の清水戦(埼玉)でJリーグ初先発濃厚となった。17日、さいたま市内で行われた実戦練習で、故障離脱の平川に代わって主力組の右サイドバックに入った。岡本は、G大阪MF宇佐美ら次世代の日本代表として期待される「プラチナ世代」。来季トップ昇格が内定した高校生が、苦戦続きのチームに新風を吹き込む。

 チャンスは突然、やってきた。清水戦を翌日に控え、スタメン確定への重要なテストの場となる実戦練習。岡本は、右太もも裏に張りを訴えていた平川の状態確認を終えたフィンケ監督から、主力組の右サイドバックに入るよう指示を受けた。事実上の「先発当確」。「精いっぱいやりたい」と先輩Jリーガーに遠慮なく体を寄せ、何度もボールを奪ってみせた。

 2種登録したばかりだった今年3月のホーム開幕東京戦(埼玉)で、負傷した平川に代わって後半27分からクラブ史上最年少17歳269日で「Jデビュー」。清水戦での出場となればリーグ戦2試合目で、先発は初となる。岡本は「緊張すると思いますけれど、自分の得意なプレーを出せれば」と気丈に笑った。

 G大阪の宇佐美や鹿島入団が内定している柴崎(青森山田高)ら将来性を高く評価されている「プラチナ世代」。09年U-17W杯をはじめ、各年代の代表で南米や欧州の強豪国と対戦して経験を積んでいる。中でも岡本は両サイド、センターバックをこなす守備職人。対人勝負に強く「ポジションは異なるが、日本代表MF細貝のタイプ」という関係者も。世代交代を進める浦和は将来の主力として評価し、8月に来季のトップ昇格を決めた。

 岡本は今季リーグ戦に出場できる機会が少ない。清水戦後は10月中旬までU-19代表に招集され、同アジア選手権を経て11月には、アジア大会メンバーに選ばれる可能性もある。「岡崎(慎司)さんは裏を取る動きが速い。通用するかどうか分かりませんが、全力で当たります」。W杯代表FWを迎える貴重な一戦で実力が試される。【山下健二郎】