<J2:札幌1-1甲府>◇第30節◇16日◇札幌厚別

 コンサドーレ札幌が、U-18所属のMF三上陽輔(18)のJ初ゴールで勝ち点1を拾った。ユース所属の2種登録選手による得点はクラブ史上初の快挙。甲府に1点先制されて迎えた後半4分、ゴール前に走り込み左足で流し込んだ。ホームの得点は8月7日の北九州戦以来4戦70日ぶり。三上の練習帯同は今回の甲府戦で終わるが、クラブではトップ昇格候補として、次節24日の富山戦まで1週間の帯同延長を検討している。

 三上が高校生らしからぬ嗅覚(きゅうかく)で、Jのゴールネットを揺らした。0-1で迎えた後半4分、左サイドでDF西嶋、MF岡本、高木とつないだボールは、ゴール前に走り込んだ18歳の目の前に転がった。「クロスが上がった瞬間、来い、と信じて走った」。左足で軽く流し込むだけの“ごっつぁんゴール”は、札幌史上初の高校生Jリーグ弾となった。

 18歳5カ月と11日での得点は山瀬、エメルソンと、かつての札幌を支えたヒーローを超える快記録となった。今季チーム最多5得点とブレークしたU-19日本代表の古田でも果たせなかった高校在学弾。東大生も輩出する札幌新川高の国公立進学クラスに在籍しながら、2週間のピンポイント帯同での活躍だ。あまりの大仕事に「頭が真っ白。まだ実感がない」と振り返るのが精いっぱいだった。

 汚名返上の1発だった。前半28分の失点は自らのパスミスが招いた。「あのミスを取り返そうと必死だった」。後半途中からはFWに入り、積極的な突破も見せた。石崎監督は「ゴールの場面は、しっかり点を取れる位置にいた。FWでもいいプレーを見せていた。楽しみな選手」と絶賛した。

 本来なら今回の甲府戦で帯同が1度、終了するはずだった。しかし、クラブでは来季のトップ昇格候補として、24日富山戦までの期間延長を検討している。「まだ課題もあるし、もう少し見てみたい」と三上大勝強化部長(39)。今後、三上が通う学校サイドと交渉し、本人とチームにとって最善の策を探していく。

 チームは17日の3位福岡、4位千葉の結果次第では、次節にも昇格の可能性が消える。帯同延長が決まれば、三上自身のアピールだけでなく、窮地のチームにも貴重な戦力となる。

 この日はクラスメートがいる札幌新川高サッカー部が、全国選手権道予選の1回戦を7-0で突破した。「次も頑張って勝ってほしい。自分はとにかく練習からアピールして、チャンスがあれば悔いのないプレーをするだけ」。仲間の活躍も刺激に、プロへの階段を駆け上がる。【永野高輔】