トウミ、マスダの「機関車トウマス」が動きだす。山形は21日、ホーム清水戦(23日)を前に紅白戦を行った。MF佐藤健太郎(26)が累積警告で出場停止のため、MF下村東美(29)とMF増田誓志(25)の「ダブルボランチ」案が浮上。佳境に入ったJ1残留争いに、今季初めての布陣で勢いをつける。

 慣れないポジションに戸惑いながらも、懸命なマークでアピールした。2列目での出場機会が多い増田は、今季初めてボランチでの起用が濃厚。ラストパスに加え、激しい守りも求められる。「精いっぱいやらないと。守備とサポートのイメージは崩したくない」。強気な発言は控え、寡黙に仕事をこなすつもりだ。小林監督も「前から真ん中(のポジション)で使いたかった。サイドだとボールを見る“観客”になりがちだから」と期待を寄せた。

 本来、攻撃的な増田を「相棒」の下村がカバーする。増田が攻め上がったスペースを消し、相手の反撃の糸口を摘む。紅白戦ではやや低い位置で執拗(しつよう)なマークを徹底。相手が数的優位にならないよう、ディフェンスラインにも気を配った。清水MF小野が中盤でキープし、MF兵働が飛び出す攻撃への対応も任される。小林監督は「(増田)誓志が上がって、(下村)東美がそこを防ぐ。バランスが取れて良いと思う」。「機関車トウマス」の出来をベテランのかじ取りに託した。

 ただ、一抹の不安も残る。紅白戦終了間際の接触プレーで、下村が倒れ込んだ。左足首を押さえ、表情をゆがめた。歩いてクラブハウスまで戻り、症状は軽いと想像される。それでも小林監督は「大丈夫でしょうけど、ひねってたらだめだね。(代替案を)考えないと」と念には念を入れる姿勢をみせた。残り8戦。ダブルボランチが急造でも、言い訳はできない戦いが続く。【湯浅知彦】