11月1日付で東京本社写真部に異動する山崎安昭記者は、09年1月から山形を担当、J1での全試合を取材した。残念ながらホーム取材最後の試合は完敗。置き土産として愛を込めてチームの現状に警鐘を鳴らした。

 山形が相手陣内でプレーしている場面で、気になっていることがある。スタンドで観戦するファンも同じだと思うが「打てよ!」というシーンが多い。決してやみくもにシュートを望んではいない。少し顔を上げる余裕があれば、シュートコースが空いていることに気付くのに、パスを選択したプレーが目立つ。

 この試合も相手が1人退場した後半21分以降、攻め立てた。リードしていた相手がゴール前を固めているため、相手の陣形を崩すのに必要なパスと、そうではないパスがあったと思う。小林監督も試合後に「周りを見て動く状況判断のミスもある。1つ上に行くために、学ばなければいけない」と語った。

 まずは守備、そして少ないチャンスを決める-。J1に参入した昨季以降、この考えはチームに浸透している。戦力が足りているとは思えない山形が、今後も戦う上でぶれる必要のないコンセプト。何本シュートを浴びても全員で我慢強く守る。こぼれ球を必死に追い掛ける。愚直なひた向きさが、結果につながり、自信を得て成長する-。このサイクルを続けることが、今季のJ1残留に必ずやつながる。

 チームにとっては胃が痛くなるような時間が続く。小林監督は「めげずにうまくいったことを思い出し、チャレンジし続けるのが大事」と、残り7戦への意気込みを語った。カウンター攻撃一辺倒だったチームが、まだまだ質は高くないが、自分たちで攻撃を仕掛けられるようになった。アウェー会場で、お世辞抜きに今年は「山形変わったね」と、何度も記者は声をかけられた。決してモンテディオは弱くない。ゆっくりでも着実な成長を続けるために、危機感を「焦り」ではなくパワーに変えて欲しい。J1残留を信じている。