鹿島FW興梠慎三(24)が、ゴールラッシュでチームを逆転Vに導く。24日横浜戦では、8月14日東京戦以来のゴールを含む2得点を挙げ、4試合ぶり勝利をもたらした。26日の練習後は「調子はいい。爆発の予感がする」と完全復活宣言。だがこれは、単なる興梠個人の復調だけを示すものではなかった。

 「取るべき人が点を取るということは、チームが狙い通りのサッカーをしているということ。チームとしていい状況だと示すバロメーターかも」と分析するのはMF中田。確かに興梠がリーグ戦で1試合2得点を挙げると、過去3度ともチームの5連勝以上につながっているのだ。

 しかも07年10月6日の神戸戦での2得点は、リーグ最終戦までの9連勝につながり、浦和との勝ち点10差をひっくり返す大逆転優勝につながる大活躍だった。09年5月16日柏戦での2得点は、チームに8連勝の勢いを生んだ。その後、興梠がゴールから遠ざかり、チームも一時低迷したものの、エースは終盤戦で、11月28日G大阪戦での2得点を含む5試合5得点と再爆発して、チームを逆転優勝に導いた。

 DF伊野波などは「興梠が取ると、こっちの気持ちも高まる」と心理的な効果も強調。本人は自分の得点とチームの好調さの因果関係について「よく分からないけどね」と謙遜(けんそん)するが、興梠の「マルチゴール」は間違いなく鹿島反撃ののろしになる。【塩畑大輔】