去りゆく指揮官から最後のプレゼントだ。今季限りで退団する清水の長谷川健太監督(45)が「勝ちロコ」を踊る。ホーム戦での清水伝統の勝利の儀式で、停滞ムードが漂うチームを活気づけようと、ポーカーフェースを貫いた指揮官が大胆宣言だ。リーグ戦のホーム・アウスタでの試合は次節湘南戦(14日)を含めて3試合。勝てば選手と肩を組み、サポーターと合唱するケンタに会える。

 ♪ロ~コ~!

 ロコロコロコロコ~

 阪神応援歌・六甲おろしよりもダンサンブルな、アウスタ恒例の勝利の儀式に“大物”が参加する。2連敗に加え、監督やベテランの退団が次々明るみになるなど、元気がないチーム状況を一変させるため、長谷川監督が立ち上がった。10日、約1時間半の戦術練習を終えると「やりますよ。期間限定で」と、勝てば選手たちと「勝ちロコ」を踊ることを宣言した。前節のC大阪戦で完封負けを喫し「なんとか盛り上げないと。こちらとしても殻を破っていかないとダメなのかな」と、話す指揮官が、自らサポーターの前に立ち喜びを分かち合う。

 「勝ちロコ」は選手が肩を組み、サポーターの前で右に左にステップを踏む。愛嬌(あいきょう)たっぷりのダンスも、流し目の似合うニヒルな指揮官が参加したのは、昨年8月22日に磐田を5-1で破った1試合のみ。今季もクールに振る舞ったが、笑顔で締めくくる決意表明でもある。

 選手たちも、歓迎ムードだ。FW藤本は「監督もやるんですか!?

 みんなでやれば一体感が出る」。MF兵働主将は「勝つことがそれぞれの次につながる。みんなで(勝ちロコを)やれるように勝つしかないですね」と、意気込んだ。2戦ぶりの復帰が濃厚なMF小野は「じゃあ、絶対に勝ちますよ」と笑った。

 次節はJ2降格が決定的な湘南が相手。長谷川監督は「自分たちのプレーにこだわってやれるかが大事」と話す。そのこだわりの1つがサポーターと選手が大事にしてきた「勝ちロコ」でもある。清水育ちの指揮官が、アウスタ名物を最後の切り札にする。【為田聡史】