白い雪をかき集めて白星をつかめ!

 山形が調整している天童市内の練習場に16日、選手ではなく、スコップを持った50人の“精鋭”が姿を現した。午前8時半。いつもの開始時間より1時間半も前のことだった。スタッフや報道陣、クラブのホームページ(HP)で積雪を知ったサポーターが出陣。1列に並び、ひたすら雪をかき分ける。すると白銀世界の隙間から、見る見るうちに緑のじゅうたんが復活。30分で作業は完了した。参加した海谷哲さん(31=会社員)は「天皇杯に向かうチームへ少しでも力になれれば」と奮起を期待していた。

 すべては25日に天皇杯準々決勝(対清水=アウスタ)を控える選手のため。自らスコップを握った小林伸二監督(50)は「普通は2~3時間かかるけど皆さんの力で早く終われた。感謝しています」。同11時には練習を開始。紅白戦も行えた。

 3月11日の清水戦の2日前も降雪に遭った。その時も地域住民の支えがあり、練習ができた。だが試合は0-3と大敗。「あの時より状態がいい。皆さんにクリスマスプレゼントと、お年玉をプレゼントしたい」。この日の最低気温はマイナス3度。寒さを吹き飛ばすほど温かい人情に触れた小林監督は、雪上で雪辱を誓った。【湯浅知彦】