J2札幌の石崎信弘監督(52)が27日、新人DF初の開幕メンバー入りを目指す櫛引一紀(18)に“ワシ流3カ条”を伝授した。高さや速さよりも、駆け引きとセンスで勝負するスタイルは現役時代の指揮官をほうふつ。センターバックのバックアップとして期待されるホープに、自らの現役時代の哲学を注入し成長を促していく。

 熊本で行われたこの日の練習後、石崎監督が険しい表情で櫛引を呼び寄せ“石のおきて”をたたき込んだ。

 (1)ずるさを覚えろ

 「ワシも高さはなかったが(現日本協会技術委員長の)原を抑えられた。低くても競る方法はある」。自身は175センチながら183センチの元日本代表FWにも「工夫すれば勝てる」と言う。体をうまく当て相手のバランスを崩しながら飛び上がるなどファウルすれすれの“技”もありだ。178センチの櫛引が生き残るには自分流の守り方を磨くことが不可欠になる。

 (2)取り換え式のスパイクを履け

 「わしはコンクリートの上を走るときも取り換え式じゃった。その方が滑らん」。足裏の突き上げ感が強く最近の選手は固定式を好むが、芝に食い込む取り換え式の方が、体勢を崩して相手FWに振り切られることも少なくなる。

 (3)笑うな

 櫛引はもともとの表情が柔和なため普通の表情でも笑っているように見えてしまう。DF選手は相手への威圧感も必要。意識して険しい表情をつくるという外見的なことにも気を配らせる。櫛引本人は「まだまだ足りないところがたくさん。開幕までに課題を直さないと」と猛省。開幕まで残りの練習期間は4日と少ない。宿題を3点に絞り込み最短距離で開幕ベンチに滑り込む。【永野高輔】