<日本代表2-1J選抜>◇29日◇大阪・長居

 遠く故郷を思い続けた。先発したMF小笠原満男(31=鹿島)は45分間、懸命にピッチを走り続けた。地元岩手を襲った東日本大震災。両チーム選手は右腕に喪章をつけ、試合前には中央に集まり30秒間の黙とうをささげた。必死に立ち上がろうとしている東北へ、勇気を送りたい-。試合直後の場内インタビューでは、声を詰まらせた。

 小笠原

 え…できるだけ一生懸命プレーしましたので、必ず伝わったと思います。ミスばっかりで笑えなかったけど、周りが助けてくれた。やっぱりサッカーも助け合いなんだな、と思った。必ず復興できると信じています。

 ピッチ外でも勇気を送る意気込みだ。震災後に故郷を訪れた際、避難所で中学生と写真を撮った。「つらい時、この写真を見て乗り越えたい」。そう言った笑顔が忘れられなかった。近い関係者に「子供たちが笑顔になるため、サッカー選手として何ができるか」と相談。そして、自らのスパイクやジャージーなどに激励メッセージを書き、被災地の子供たちに送ることを発案した。

 まずは鹿島の選手間で何を送れるか、ルートや送り先などを打ち合わせる。最終的にJリーグ全体に計画を波及させるため、今回はFWカズらと話し合った。「今だけでは終わらず、各被災地によって必要なものは変わる。その時その時、長期的にやれることを続けたい」。少年少女がボールを楽しそうに蹴る日は、必ず戻ってくる。サッカーができる喜びを感じながら、小笠原の支援はこれから本番だ。