なでしこジャパンのFW川澄奈穂美(26=INAC)が、地元チーム創設をおねだりした。25日、出身地の神奈川・大和市で、同市にゆかりのあるMF大野忍(27=INAC)、DF上尾野辺めぐみ(25=新潟)とともにパレードを行った。オープンカーに同乗した大木哲大和市長(63)に、なでしこリーグを目指す女子チーム創設を要望。同市長も代表戦開催誘致を含め、前向きな検討を誓った。

 日本のヒロイン川澄の笑顔に、「5万人」の地元市民がメロメロになった。大野、上尾野辺と大和市内で凱旋(がいせん)パレード。小田急線南林間駅から鶴間駅まで、パトカーと地元小中学生のマーチングバンドが先導。約700メートルの二条通商店街を、赤いオープンカーに乗って約30分間手を振り続けた。川澄は「まさかこんなに集結するとは驚きです。皆さんの応援を実感しました」と感無量の表情を浮かべた。

 周辺道路は約3時間封鎖。運営スタッフ、警備員は各100人を超えた。幅5メートルの狭い道路の両サイドに何重にも重なった群集から「川澄ちゃ~ん」と黄色い歓声と色とりどりの紙吹雪。感動のあまり涙を流す年配女性もいた。マンションのベランダや階段、商店や会社の窓など至るところが人で埋まり、民家の屋根や電柱にのぼってカメラを向ける光景もあった。

 川澄の隣に同乗した大木市長は「数万かなと思ったけど、担当者から5万人くらいと聞いています」と目を丸くした。娘の晴れ姿に母千奈美さん(55)も「最高の親孝行です」と喜びをかみしめた。

 川澄にとって大和市は、上尾野辺と一緒に小学校から高校まで林間SCレモンズ-大和シルフィードでプレーしてきた故郷。当時指導していた同クラブ加藤貞行代表(64)を中心にパレードが実現しただけに「地元に帰ってきたらサッカー教室ができたらいい」と、女子サッカー普及に力を注ぐ“先生”役に立候補した。

 それだけではない。大木市長には「まずはチームをつくってほしい」と、なでしこリーグ入りを目標にした女子チーム結成を熱望。「運営環境や、子どもたちが夢を抱ける環境を整えて」と続けた。同市長も「今日の市民の歓声は真の声。そうなれるように努力をしていきたい」と力を込めた。実現すれば、川澄自身が故郷のチームでプレーするという最高の恩返しができる可能性も広がる。【鎌田直秀】