なでしこリーグ王者と女子欧州チャンピオンズリーグ(CL)王者の夢対決が実現する。今年の両リーグの優勝クラブが11月下旬に日本で対戦することが27日、分かった。このほど、なでしこリーグ側が、5月17日の女子欧州CL決勝(ドイツ・ミュンヘン)に進出したフランクフルト(ドイツ)とリヨン(フランス)の両クラブに打診し、試合の確約を得た。今回の対戦が、各大陸の女子クラブ王者を集めて争う“女子版クラブW杯”の第1歩になる。

 ロンドン五輪、U-20(20歳以下)女子W杯日本大会後の11月、なでしこリーグと女子欧州CLの女王が日本で対決する。なでしこリーグ幹部が「(欧州CLの)4強に残ったチームにはすでにレターを出し、日本に来てもらえる確約はいただいています。日程などの詳細はこれからですが、リーグが終わった直後に実現します」と明かした。

 5月17日に行われるフランクフルト-リヨンの欧州CL決勝では、なでしこジャパンの主力DF熊谷紗希(フランクフルト)と、FW大滝麻未(リヨン)が対戦。勝った方が11月に日本で凱旋(がいせん)試合に臨むことになる。11月に閉幕するなでしこリーグは今季もINAC神戸が頭ひとつ抜けている。MF川澄VS熊谷、MF沢VS大滝など、普段は見ることのできないマッチアップが実現するかもしれない。

 今回の夢対決は“女子版クラブW杯”開催への起爆剤ともなる。女子の場合はW杯や五輪はあるが、男子のクラブW杯のようなクラブ世界一を決定する大会がない。今季は米女子サッカーリーグが中止となるなど、世界の女子リーグは実力があっても人気は定着していない。南米やアフリカなど基盤が整備されていない国も多い。今回の欧州と日本のクラブ頂上対決が注目を集めれば、各国リーグにも人気が波及する可能性もある。

 W杯ドイツ大会優勝後のなでしこフィーバーの中、昨年11月にはINAC神戸が東京・国立競技場でイングランドの強豪アーセナルと対戦した。1万人を超える観客を集め、日本協会小倉会長も「女子の試合にこんなにたくさんのお客さんが来てくれて良いものを見せてくれた」と感激。沢は「これをきっかけに世界のクラブが目指す大会ができればいい」と話し、川澄も「子どもの頃から憧れて見ていたトヨタ杯(現クラブW杯)みたいな大会ができれば励みになる」と熱望していた。

 欧州リーグは日本と違い、例年は8~9月に新シーズンが開幕する。11月はリーグ戦真っ最中のため日程的な問題が懸念材料だが、欧州CL決勝の会場(ドイツ・ミュンヘン)で優勝クラブ幹部となでしこリーグ幹部同士が最終交渉をして決める。日本から提案し、歩み出したドリームマッチは、世界の女子サッカー普及の大役を担っている。

 ◆女子欧州チャンピオンズリーグ

 2001年にスタート。女子のクラブチーム国際大会としては最古。当初はUEFA女子カップと呼ばれていたが、09年から現大会名に変更された。出場資格はUEFAに加盟している国・地域のクラブから、リーグ戦とカップ戦の優勝チーム、前年優勝国のリーグ戦2位、カップ戦準優勝チーム。02-03年から08-09シーズンまでの決勝戦はホームアンドアウェー方式で行われていたが、09-10年からの決勝戦は一発勝負。優勝はフランクフルト(ドイツ)の3回が最多で、FW永里が所属するポツダム(ドイツ)、ウメオ(スウェーデン)が2回で続く。昨年はリヨン(フランス)が初優勝した。