<なでしこリーグ杯:INAC神戸3-1千葉>◇A組第3節◇8日◇ホームズ

 なでしこジャパンMF沢穂希(33)がロンドン五輪へ向け、攻撃モードに突入した。INAC神戸での五輪前最後の試合となった千葉戦にフル出場し、中盤から積極的に相手ゴール前に迫り、2得点に絡む活躍を見せた。試合後の五輪壮行セレモニーではメダル獲得をサポーターに約束した。悲願の金メダル獲得へ、沢が本来の攻撃スタイルを取り戻し、きょう9日から始まるなでしこの代表合宿に参加する。

 五輪まで3週間を切った沢が、ついに攻撃モードへと切り替わった。前半7分、FWゴーベル・ヤネズにスルーパスを出し先制点を演出すると、後半7分にはゴール前で相手GKのクリアを拾い、再びゴーベル・ヤネズにパス。ゴーベル・ヤネズが自らのシュートのこぼれ球を押し込み、再び勝ち越すと、歓喜の輪に飛び込み、吹っ切れたような笑顔で仲間と抱き合った。

 「五輪に行く前に勝ち点3が取れてよかった。ロンドン五輪開幕まであと3週間。チーム一丸となったメダルをとれるように頑張ります。個人的にはとにかく大好きなサッカーを楽しんできたい」

 MF田中明が入った後半には、ボランチから攻撃的MFの位置に上がり、積極的に相手ゴール前に迫った。シュートこそ0本だったが、CKでは何度も相手と頭で競り合い、守備でも相手DFにプレッシャーをかけ、ボールを奪ってカウンターに転じた。五輪代表発表後初の試合は間違いなく今季一番の体のキレだった。沢は「今日は前に行けるチャンスも何度かあって、(五輪に向けて)いいシミュレーションになった。引き続き、もっと攻撃に関わりたい」と、イメージを膨らませた。

 試合後の五輪壮行セレモニーでは、チームメートから五輪に出場する7人全員に写真とメッセージ付きの色紙がサプライズで渡され、AKB48のヒット曲「会いたかった」の替え歌で「金メダル~

 金メダル~

 金メダル~

 イエス♪」と合唱され、激励を受けた。

 「うれしかったですね。皆、五輪に向けて前向きなメッセージを書いてくれた。皆の思いが入っているので、後でしっかり読みたい。ロンドンにも持って行きます」。この時ばかりは少女のような顔に戻った。

 今日9日からは千葉県内でなでしこジャパン代表合宿に参加する。「まだ試合が終わったばかりで実感はないけど、明日代表に行ったら、ドキドキ感や緊張を感じるかな」。昨年のW杯優勝に続く、悲願の五輪金メダルへ-。「最後になるかもしれない」と話した沢の五輪への挑戦が、いよいよ始まる。【福岡吉央】