<プレナスなでしこリーグ杯:INAC神戸2-1新潟>◇5日目◇18日◇東北電ス◇1次リーグA組

 INAC神戸の中学3年生DF樫原まゆ(14=INAC神戸U-18)が、同クラブ最年少出場を果たした。なでしこリーグ杯新潟戦で、2-1と逆転した後半41分から途中出場。中1で日本女子サッカーリーグ(現なでしこリーグ)に出場したMF沢には及ばないが、極めて異例のスピードデビューとなった。

 本来はセンターバックながら、MFチの負傷により「点をとってこい」とFWとして星川監督に送り出された。「かなり緊張しました。しかもFWでビックリ。残り少ない時間だったので得点を狙っていこうと思った」と、樫原はファーストプレーから能力の高さを見せた。相手DFを背負ってボールを受けると、ワンタッチで反転し、DFのマークを外した。シュートは打てなかったものの、3度DFラインの裏を狙って走り、得点への意欲を示した。前線からのチェックも繰り返し、1点差の勝利に貢献。チームは僅差の勝利をものにして、公式戦41戦無敗とした。

 なでしこジャパンの主力としてロンドン五輪で試合を重ねてきた沢、大野、川澄、近賀が欠場したため、樫原に出番が巡ってきた側面はある。だが、星川監督は「サイズもあるし、左右も蹴れる。不慣れな位置でもあれだけできた。可能性がある選手なので、今後もチャンスを与えたい」と、潜在能力を絶賛した。

 試合後、汗だくになりながらも、さわやかな笑顔を浮かべた。「中3の私がトップ(の試合)で出してもらえたのはすごいことだと思う。下部組織の代表としても、またチャンスをもらえるように頑張らないと」。デビュー戦を勝利で飾ったが、トップチームでの出場に意欲があり、この日の出場だけでは満足していない。

 目標も明確だ。「五輪も全部生放送で見ました。今日は良い経験ができた。沢さんたちからたくさん学びたい。DFなのでヘディングも強くなりたい。将来はINACの先輩たちと代表でやりたいです」と力強い。「でもまずはカテゴリーの代表」。今秋のU-17女子W杯日本代表入りが第1目標になる。未来の大物候補が誕生した。【鎌田直秀】

 ◆樫原(かしはら)まゆ

 1997年(平9)12月14日、兵庫県川西市生まれ。小2の時、2歳上の兄元大さんの影響でサッカーを始めた。緑台スーパーキッズ-北摂ガールズを経て、INAC神戸U-18所属。小学校時代から男子に交じって関西選抜入り。趣味は音楽鑑賞。ポップユニットのソナーポケットがお気に入り。家族は両親と兄。166センチ、56キロ。

 ◆年少デビュー

 INAC神戸では昨年11月20日のリーグ戦最終節福岡AN戦(レベスタ)で、中3のDF八尾智奈美が出場している。過去には沢穂希が中1の12歳で出場経験がある。また、沢とともに読売(現日テレ)「中3トリオ」として出場していた加藤(旧姓酒井)与恵、原歩の年少出場も有名。なでしこジャパン大野、大儀見らも高1からリーグ出場している。